Skip to main content Skip to Footer

LATEST THINKING


IoT/AI時代の競争を勝ち抜くためのSCMデータの分析・活用術

収集・蓄積したビッグデータの分析・活用を通じて、新たな効果を生み出すためには?

企業に眠る未活用のSCMデータ

岩村 泰彦

製造・流通本部
シニア・マネジャー
岩村 泰彦

1つの企業が単独でシステムを構築する時代はすでに過去のものとなり、2000年以降は組織や企業の枠を越えた情報連携を前提としたSCMシステムの導入が盛んになったことは、よく知られているところです。そして、現在ではほとんどの企業に調達・製造・物流・販売・サービスといった業務を横断した、多様なSCMシステムが導入されています。

これらのシステムによってSCMに関連した業務の効率化が進み、各社ともに一定の成果を手にしています。しかし、一方でこれらのシステムが生み出す膨大なデータを十分に活用できている企業はまだ少ないのが現状です。ストレージの大容量化・低価格化・クラウド化によって、多くの企業で膨大なデータが蓄積されているにもかかわらず、そのほとんどは単なるバックログであり、さらなる業務の効率化や売上の拡大に向けた分析活用にまでは至っていません。

また、近年はスマート・デバイスの普及やIoTの考え方が広まったことで、人やモノの移動などに関する取得可能なSCMデータは、その種類・量ともに爆発的に増加しています。しかし、これらのデータは情報の形式や精度、信頼性がバラバラ/玉石混交であるため、ただ集めただけでは活用は難しいことに加えて、そもそもどういうデータを集めればよいのかという入口の部分で戸惑っている企業も多く見られます。

このようにシステムの高度化やデバイスの進化によって、近年は多くのデータを収集・蓄積できるようになった一方で、これらのデータをいかにして活用していくかは、依然として多くの企業の共通課題となっているのです。

【図1:取得可能なさまざまな種類のデータ】

最新事例からみえるデータに潜在する新たな可能性

では、大量に収集・蓄積されるデータには、実際にどのような価値が潜在しているのでしょうか? データ活用・分析に力を入れている企業の取り組みの中からは、これまで使われていなかったデータ、また新たに取得したデータを利用して具体的な効果を生み出している事例が報告されるようになっています。以下で、そのいくつかをご紹介します。

事例1:配送車データの収集(UPS)

  • UPSでは、配送車に取り付けたセンサーとGPSからドライバーの運転状況や位置、配送ルートといったさまざまな情報を収集。ここで得られるビッグデータを分析して最適なルートを導き出すことで、年間3~4億円のコスト削減に成功している。

  • また得られたデータをもとに、顧客に対して荷物が届く時間を事前に通知できるようになったほか、顧客からの配達時間変更のリクエストに対しても、最適なルートをリアルタイムで選択することが可能になっている。(*1)

事例2:工場設備稼働データの収集(Siemens)

  • Siemensでは、IoTを活用して工場内のすべての設備の稼働状況に関するデータをクラウド上に集約し、遠隔地からのリアルタイムの進捗管理を実現。稼働状況の一元管理を通じて、設備の隙間時間(非稼働時間)を見える化し、設備の投資価値を最大化できるようになった。こうした無駄をなくす取り組みによって、同社は生産量を従来の2倍に拡大すると同時に、さらなる品質の安定化を目指している。(*1)

事例3:製品利用データの収集(ヤンマー)

  • ヤンマーでは農機の稼働データを収集・分析し、最適なメンテナンスを提供することで製品寿命を伸ばし、顧客の囲い込みを実現。これまで地域の町工場が担っていた修理需要を取り込み、保守部材やサービスを含めた製品ライフサイクル全体で収益を上げていく仕組みを構築している。

  • また、これまで勘や経験に頼っていた営業活動は、データ活用によって精度が向上。農機利用方法は国や地域によって異なるだけに、多くの稼働データを収集・分析することで最適な提案を実現できるようになった。(*2)

事例4:店舗内のカメラを活用した来店客の行動分析(RetailNext)

  • RetailNextでは、店舗にカメラを設置して入店率・顧客属性・購買率などの情報を収集・分析できるIoTプラットフォーム(カメラから送られてくるデータの詳細な解析を可能にするソフトウェア)を構築。

  • この仕組みにより、入店客の性別や年齢を識別しながら、購買した人/しない人が店内をどのような導線で移動したか、どの棚の前で何秒滞在したか、販売員と何秒接したか、どの程度の割合で試着まで行ったか、その後何割の人が実際に購入に至ったかを細かく記録することが可能になった。これらのデータをもとに、商品の棚割、接客方法の改善や販売員のシフトを見直すことで、販売効率アップと顧客満足度向上につなげている。(*3)

事例5:RFIDによる顧客行動データの収集・活用(ディズニーワールド)

  • ディズニーワールドでは、GPS・RFIDが内蔵されたリストバンド(Magic Bracelets)を来園客に身に着けてもらうことで、一人ひとりの買い物やアトラクション利用/滞在時間といった園内での行動を、顧客情報と共に収集・記録できる仕組みを構築。

  • 蓄積されたデータを分析することで、どの来園客が、どの時間に、どの場所にいて、どういう行動をとったのか(どういう買い物をしたのか/どのアトラクションを利用したのか)を随時把握できるようになった。これらの情報から、どこが混雑しているのか/その原因はどこにあるのかを分析し、混雑の解消や利便性向上の施策立案が可能になっている。(*4)

データの価値を高める2つの分析アプローチ

さまざまなデータ活用・分析を通じて、具体的な効果を生み出している企業の例をいくつかご紹介しましたが、この実現はそう簡単なことではありません。なぜなら、実際にデータに触れてみると膨大なデータは眺めるだけでも大変な上、ただ眺めているだけでは何が課題なのか/どこに金脈があるのかが全く見えてこないからです。これらのデータから課題を抽出し、効果に結び付けるために重要になってくるのが、「仮説思考のデータ分析」および「AIを利用したデータ分析」という2つの分析アプローチです。

「仮説思考のデータ分析」は、コンサルタントがしばしば用いる手法として知られています。データをただ漫然と眺めるのではなく、事業構造やそれを取り巻く環境を踏まえた上で、どこに課題があるのか/何が問題なのかをデータを見る前と見る過程において仮説立案し、その仮説に沿ってデータを深く分析することで、課題とその原因を特定する手法です。この手法を実践するには、サプライチェーン全体の構造の深い理解とデータ分析のスキルが必要となってきます。

一方で、最近話題を集めているのが「AIを利用したデータ分析」です。どうしても仮説が立てられない、あるいは仮説を立てる前段階で大まかに概要を把握して仮説立案に活かしたいといった場合には、いったんAIにデータを委ねてみる方法が有用なことがあります。ここではサプライチェーンの構造などに関する高度な知識は必要ありませんが、さまざまな角度/分析手法でトライ&エラーを繰り返しながら素早く分析を行うためのビッグデータの取り扱いや、分析に関する知識、分析ツールを使いこなすスキルが必要となります。

日々集まってくる大量のデータをスピーディーに分析して課題解決につなげていくためには、この2つのアプローチをうまく組み合わせながら分析を実施する必要があります。サプライチェーン構造への深い理解に加えて、データ分析やAIといった最新技術に対する知識を持ち合わせていないといけない点が、IoT・AI時代におけるSCMアナリティクスのポイントであり、難しい点だと言えるでしょう。

データ活用の取り組みを加速し、ビジネスを成功に導くために

ここまでで見てきたように、効果的なSCMアナリティクスを実現するためには、サプライチェーンおよびデータ分析の両方の視点での高度な専門知識不可欠です。また分析によって課題が明らかになった場合、それを実際に効果に結び付けるためには、言うまでもなく社内改革や業務変更も必要となります。IoTやAIが業務に組み込まれ、業務そのものが高度化・複雑化する中では、それに応じた改革のデザイン力・実行力がなければ、取り組みを成功に導くことはできません。

あらゆる分野における豊富な分析手段とテクノロジーを有するアクセンチュアでは、サプライチェーンの専門家、ビジネスの専門家、分析・デジタルテクノロジーの専門家たちのコラボレーションによる機能横断的な支援体制が整っています。現状において社内に高度な分析スキルがなくても、アクセンチュアの支援を通じて、未来のビジネスの成長を支援する高度なデータ分析環境を共に育て/作り上げていくことも可能です

【図2:アクセンチュアが支援しているデジタル時代のサプライチェーン】


また、分析によって見えてきた課題への対応/業務への落とし込みといったフェーズについても、アクセンチュアは長年のコンサルティングで培った豊富な経験・事例を有しており、最終的な効果の創出まで、お客様を一貫してサポートします。データ収集・分析・活用に悩みを抱えている皆様は、まずどこにデータ収集・活用の余地があるのか、どこに経営課題があるのかについての簡易的な調査からスタートしてみてはいかがでしょうか。ご興味をお持ちの方は一度ご連絡をいただければと思います。


*1: 米国におけるIoT(モノのインターネット)に関する取り組みの現状 (2015/8)
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/ebc69b7777fbb2ad/NY_report_201508.pdf 最終閲覧日:2017/7/13

*2: 驚きの迅速対応 ヤンマー、農機修理にビッグデータ活用 (2014/9/12)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO76890360Q4A910C1000000/ 最終閲覧日:2017/7/13

*3: ピーチ・ジョン、店舗にIoT導入で入店率・購買率などの情報を収集・分析し、販売効率と顧客満足度を高める (2016/8/18)https://iotnews.jp/archives/29440 最終閲覧日:2017/7/13

*4: ディズニーが10億ドル投資 サービス業に広がるIoT (2015/8/26)
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO90652390Y5A810C1000000/ 最終閲覧日:2017/7/13

お問い合わせ

お客様導入事例その他、開示可能な情報もあります。

詳細な資料をご希望の方はアクセンチュア製造・流通本部までお問い合わせください。

TEL:03-3588-4453 (製造・流通本部直通)


関連コンテンツ