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製造業にとって、真のデジタル化とは?

「Digitize or Die」 日本のモノづくり企業がデジタル化の世界で生き残るには

デジタル化によって、ゲームのルールが変わった

野 真一郎


インダストリアルグループ
アジア・パシフィック統括
マネジング・ディレクター
河野 真一郎

X.0を味方につける

世の中には「デジタル化」という言葉が氾濫していますが、定義が曖昧なままバズワードとして使われていることも多いようです。デジタル化の本質とは、どのようなものでしょうか――。

私たちはデジタル化を、産業や社会に極めて大きなインパクトをもたす時代の潮流であるととらえています。これまでは、デジタル化を「ネット企業など一部の産業の話」と見なして、大きな注意を払う必要を感じなかったビジネスパーソンもいるかもしれません。しかし、いまではIoTなどの進展を通じて、デジタルは製造業を含む様々な産業、そして社会のど真ん中に入り込もうとしています。

デジタル社会の意味を端的に示しているのが、企業の成長スピードでしょう。時価総額1000億円に達するまでに、Fortune500企業は平均で20年近くを要しています。これに対して、グーグルは8年、ウーバーは2年。最近は1年半で1000億円を突破する企業も出現しています。ゲームのルールが変わったということもできるでしょう。

こうした変化の背景には、技術の急速な進化があります。1971年に登場したインテル初のCPUと2015年のそれを比較すると、性能は3500倍、電力効率は9万倍、性能当たりの単価は6万分の1になりました。一方、製造業の変化は非常に緩やかです。1971年に時速130キロだった自動車の最高速度は、現在ではどの程度でしょうか。

もしCPUと同レベルの進化を遂げていれば、3500倍なので、時速48万キロ超ということになります。もちろん、そのような自動車は誰も求めないでしょう。CPUと同じ速度で自動車も進化すべきといっているのではありません。デジタルの世界と物理的な世界の間には、これほど大きな違いがあるということです。

パワフルなデジタル技術はいま、製造業の形、ビジネスのあり方を大きく変えようしています。コネクテッドカーや自動運転は、自動車産業の構造を根本的に変えてしまうかもしれません。構造的な変化は、普及しつつあるEVによっても起こり得ます。内燃機関をモーターに代替すれば、部品点数はほぼ半減するといわれています。

一方、3Dシミュレーションの進化により、バーチャルなテストと実物を使ったテストによる結果の差はなくなる方向にあります。モジュール化の進展、エンジニアリングにおけるデジタル技術の発展を前提としたとき、擦り合わせを得意とする日本の自動車メーカーはどのような戦略で臨むべきでしょうか。それは自動車のみならず、ものづくりに共通する大きなテーマです。

自前主義を捨て、オープンイノベーションに舵をとる

デジタルの世界においては、これまで以上に規模がモノをいいます。自動車や工作機械、交通機関、家電製品などがネットワークにつながる時代には、最初に規模を取ったプレイヤーが圧倒的に有利です。ネットワークの外部性が発揮され、先行者にはより多くのデータが集まり、ハイスピードでサービスを向上させることができるからです。

バリューチェーンのデジタル化という観点も重要です。たとえば、巨大化するECサイトに集積されるビッグデータは、背後の様々なプロセスを変える可能性があります。商品開発やロジスティクス、参加するプレイヤーの姿も変わるでしょう。多くの企業が、既存バリューチェーンの組み換えを迫られるはずです。

また、モノからサービスへという流れもあります。サービス化の重要性は以前から指摘されてきましたが、IoTなどの技術がこの動きを加速します。サーキュラーエコノミーは、その1つの断面ととらえることができるでしょう。

たとえば、ミシュランが始めた商用車向けの“Pay as You Drive”サービス。タイヤというモノを売るのではなく、走行距離に応じた課金体系で、アナリティクスによる燃費向上などの価値を実現しています。GEがエアライン向けに提供する運航管理ソリューションは、エンジンを販売するだけでなく、エンジントラブルの大幅削減や遅延率低下という価値を実現しています。いずれのサービスでも、ビッグデータ解析が中核的な役割を担っています。

従来とはまったく異なる様相を持つデジタル社会に対して、日本企業はいかに向き合うべきでしょうか。一般的な解はなく、そのための戦略は企業によって様々でしょう。ただ、注意すべき重要なポイントがあります。

 それは、自前主義へのこだわりを捨てること。内部リソースだけに依拠して、グローバル市場で一定以上の規模を確保することは困難です。自社の知見やアイデアだけでは、デジタル技術を活用した新たな価値創造も難しいでしょう。おそらく、どんな大企業にもいえることです。

多くの企業にオープンイノベーションが求められています。自社のどの強みを生かすか、それを外部の強みと組み合わせてどのような価値を実現するのか。それは、企業の将来を左右する判断になるでしょう。適切な判断を下すためには、現在と将来のビジネス環境、技術動向への深い洞察が欠かせません。

日本の製造業がデジタル時代を勝ち抜くため、アクセンチュアはグローバルな経験と知見を生かしたサポートを提供しています。日本の誇る強い製造業が、デジタルの力を得てますます光輝くことを私たちは願っています。


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