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[連載] 最前線のデータ活用をいかに実現するか?~後編

克服すべき3つの課題

最前線・最細粒度の情報が取れているか?

【講演者】
アクセンチュア株式会社
モビリティ サービス グループ統括
マネジング・ディレクター
清水 新


【講演内容】

近年、日本企業の苦戦がしばしば話題に上ります。海外のハイパフォーマンス企業と比べた場合、どこに課題があるのでしょうか。アクセンチュア モビリティサービス グループ統括 マネジング・ディレクターの清水新は次のように語ります。

「アップルは世界各地での販売数を機種ごとに週次で集約し、その事実に基づいて高速のPDCAを回しています。GE(General Electric)はメディカル機器やガスタービンなどの稼働状況を世界中でモニタリングして、営業活動などに生かしています。世界のハイパフォーマンス企業は、最前線の情報を最細粒度で集めて経営の質を高めています。このような経営管理モデルを持っているかどうか。日本にも先進的な企業はありますが、それは少数でしょう」(清水)。

高度な経営管理モデルを構築する上でのキーワードは、最前線、最細粒度。「いつ、何が、どれだけ売れたのか」といった現場の情報を、経営が把握できるような仕組みが求められています。ところが、多くの日本企業は最前線の一歩、二歩手前の情報までしか把握できていないのではないでしょうか。粒度もバラバラで、比較検討や分析が困難なケースも少なくありません。

「これは、当社がコンサルティングを行った消費財メーカーA社の例です。販売会社やディーラーへの販売量は、月末に増えるなどして大きく振れていました。調べてみると各店舗での実売量が大きく振れることはないのですが、“情報のバケツリレー”をしているうちに、現地法人や本社に届く情報は実需とはほど遠いものになってしまっていたのです」(清水)。

現場の情報を直接取ることができれば、より精度の高い生産計画を立てられますし、効率的なサプライチェーンを構築することができるはずです。では、どうすれば最前線の情報を集められるのでしょうか。ここで大きな力を発揮するのが、スマートデバイスです。A社の話には続きがあります。

「A社は実需を正確に把握するために、店舗にタブレット端末を配布しました。そして、機種別の販売数や在庫数など、最細粒度の情報を受け取るようにしたのです」と清水。その結果、現地法人はもとより、本社からもその地域での販売数が正確に把握できるようになりました。サプライチェーンの効率が大幅に向上したことは、言うまでもありません。

「これまで最前線、最細粒度の情報が取得できていなかった企業にとって、モバイルの発達はキャッチアップの大きなチャンス。このチャンスを生かせば、高度な経営管理モデルを実現することができます」と清水は強調します。

エンタープライズ・モビリティの“3ない問題”を克服する

ただし、清水の言うチャンスを生かすためには、3つの課題を乗り越えなければなりません。

「セキュリティなどの懸念により『つなげない』。業務プロセスを『変えられない』、もしくはどう変えればいいのか分からない。そして、使いこなすための画面などユーザーエクスペリエンス(UX)を『創造できない』。この“3ない問題”を前に立ち止まっている企業は多いと思います」(清水)(図2)。

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図2 真因の洞察 ~本当の理由は何か?

真の原因は、硬直化している業務プロセスとレガシーシステムにメスを入れられないことだと考えられる。

『予測型経営へ』の道筋を描く

しかし、状況は大きく変化しつつあります。前編で述べたように、Windows 8という「つながる」手段が登場しました。さらに、清水はこう続けます。

「モビリティの導入時には、業務プロセスの変革が欠かせません。ここでのポイントは、『予測型経営へ』の道筋を描くこと。この変革を推進する際には、アクセンチュアのノウハウを活用することができます。さらに、現場でストレスなく入力できる『モダンUXへ』のアプローチは、アクセンチュアとアバナードがサポートします」(清水)(表2)。

しかし、状況は大きく変化しつつあります。前編で述べたように、Windows 8という「つながる」手段が登場しました。さらに、清水はこう続けます。

表2 マイクロソフト、アクセンチュア、アバナードの3社が変える

Windows 8の管理性とセキュリティ性の高さをテコに、レガシー資産を生かし、単なる結果を記録するツールではなく、予測型の業務プロセスに展開するモデルを提案する。

世界中の現場を可視化する経営管理モデル

以上3社のケイパビリティを活用することで、ステージ1の「コミュニケーション・ツール」という段階を越えて、ステージ2「部署内での業務最適化」、さらにはステージ3「経営管理の高度化」への歩みを速めることができます。なお、アバナード(Avanade)は米マイクロソフトと米アクセンチュアが設立した合弁会社であり、日本には同社の100%子会社としてアバナード株式会社が置かれています。

では、ステージ2およびステージ3において、企業はどのようなビジネス価値を実現できるのでしょうか。

「ステージ2のポイントは、業務プライオリティの視点と業務標準プロセスの設定です。小売業を例にとると、まず『顧客が商品Aを購入した場合、次にBとCをお勧めする』という標準的な手順を決めます。そして、この手順をタブレット端末に埋め込み、店舗スタッフの接客に生かしてもらう。こうして営業力を底上げした結果、ある小売業では売り上げを40%増やすことができました」(清水)。

そして、ステージ3。情報のバケツリレーを脱し、最前線・最細粒度の情報を取得して経営管理の高度化を目指します。ただ、現場が情報の取得や報告に追われるようでは本末転倒。清水はこう指摘します。

「できるだけ報告させない仕組みづくり、実需データの取得、引き合い管理データの取得がポイント。そのためには、スマートデバイスのUXを工夫する必要があります。結果ではなく、未来や予測を指向した画面づくり、最細粒度の入力、『報告のための報告書作成』ではなくタップすることで自動的にレポート作成できることが重要です」(清水)。

最前線・最細粒度の情報を集約することで、経営判断のための新鮮な材料を得ることができます。変化の激しい時代において、世界中の現場を可視化する経営管理モデルは不可欠のものになりつつあります。

(関連リンク)