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[連載] 最前線のデータ活用をいかに実現するか?~前編

エンタープライズ・モビリティの発展シナリオ

概要

近年、スマートデバイスがビジネスに浸透しつつあります。しかし、エンタープライズ領域で本格的に活用している企業は少数。そこにはセキュリティをはじめとするITガバナンス上の課題がありますが、これをクリアできれば企業は「業務の最適化」、「経営管理の高度化」という次のステージへ進むことができます。そのための有効な手段となり得るスマートデバイスは何か、Windows8はiOSやAndroidと何が違うのか。それが、エンタープライズ・モビリティへの扉を開くカギと言えるでしょう。

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【講演者】

アクセンチュア株式会社
テクノロジー コンサルティング本部
モビリティ&エマージングテクノロジー グループ統括
マネジング・ディレクター
田中 慎二

クラウド・モビリティ時代の企業ITとは?

「毎年、相当のIT投資を行っているが、本当に効果は出ているのか」、「もっと経営の意思決定に役立つ情報は取れないのか」、「タブレット端末を導入している企業もあるが、わが社はどうするんだ」――。

今日もどこかの企業で、CEOがCIOにそんな質問をしていることでしょう。それは、決して珍しい光景ではありません。アクセンチュア モビリティ&エマージングテクノロジー グループ統括 マネジング・ディレクターの田中慎二は、こう話します。

「技術の進化は、ますますスピードアップしています。クラウドやスマートデバイス、ビッグデータなど、次々に登場する新しいテクノロジーを見極め、それを企業ITに生かすのは容易ではありません。しかも、ITガバナンスを確保しつつ、時代に遅れないようにしなければならないのです。CIOの悩みは尽きません」(田中)。

ここで、企業ITの変遷を振り返ってみましょう。企業ITはカスタム開発の時代を経て、1990年代半ばからパッケージ開発に移行しました。さらに、2010年以降はクラウド・モビリティ時代です。

「パッケージ開発の時代、日本企業の間にERPが浸透しました。しかし、事業や拠点ごとにERPを導入した企業も多く、その結果として情報の粒度がそろわないというケースも散見されます。これでは、『見える化』とは言えません。クラウド・モビリティの時代を迎えたいま、こうした状況を改めて見直す必要があります」と田中は言います。

クラウド・モビリティの時代には、以前は存在しなかった道具も登場しました。それらを総動員して、変革を推進するのです。その変革のポイントについて、田中はこう指摘します。「モビリティを活用して、スキルや業務のレベルに依存しない標準的な業務プロセスを構築する必要があります。また、最前線・最細粒度の情報を取得し、全組織で利用するプロセスの構築も重要です」(田中)。

ITガバナンスの課題をクリアするWindows 8

エンタープライズ・モビリティの発展シナリオは3段階に分けることができます。ステージ1は「コミュニケーション・ツール」、ステージ2は「部署内での業務最適化」、そしてステージ3は「経営管理の高度化」です(表1)。

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表1 エンタープライズ・モビリティの発展シナリオ


エンタープライズ・モビリティの発展は、「コミュニケーション・ツールとしての活用」から、「部署内での業務最適化」、「経営管理の高度化」と3つのステージが存在する。

ただ、多くの日本企業はステージ1にとどまっているのが実情でしょう。従来通りの業務プロセスの中で、表示デバイスとして使われているケースがほとんど。せっかくタブレット端末を導入したものの、ノートPCもあわせて持ち歩いているというビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。こうした状況を脱してステージ2、3を目指すには、ITガバナンスの課題を克服する必要があります。

まずは、スマートデバイスが本来的に持っている性質について理解する必要があります。

「スマートデバイスは、企業ITの構成要素として生まれたものではありません。企業ITにおいては異端児のような存在です。したがって、スマートデバイスをそのまま企業ITに取り入れようとすると、セキュリティの問題をはじめ様々な不都合が生じます。こうしたITガバナンス上の課題をクリアするためには、スマートデバイスを前提とした業務プロセスとITを再構築する必要があります」と田中は言います。

業務プロセスとITの再構築、使いやすいスマートデバイスのポイントについては、「後編」に譲ります。ただ、ITガバナンスを確保するための重要な道具の出現には留意が必要です。それが、Windows 8です。

「スマートデバイスのOSとして、主なものはiOSとAndroid、Windows 8です。それぞれに特徴がありますが、エンタープライズでの利用を前提とした場合、少なくとも現段階ではWindows 8以上のものはありません」(田中)。

では、なぜWindows 8なのか。田中はこう続けます。

「既存ITとスマートデバイスを融合させるためには、いくつかのハードルを乗り越える必要があります。重要なポイントは『マスターデータ』と『ID』、『ルール』、『技術基盤』の4点(図1)。これらのハードルをクリアすることを考えるとWindows 8が最適です。長年にわたってエンタープライズ領域で使われてきたWindowsならではの優位性と言えるでしょう」(田中)。

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図1 ITガバナンスの要諦 ~Windows 8による既存ITとの融合~


基幹・情報・コミュニケーション系を有機的につなぐには、この図に示すITガバナンスが重要である。

例えば、既存ITとの親和性の高さ、開発者が多数存在していることなど、Windows 8には他の2つのOSには無い特徴があります。加えて、一元的なID管理も可能です。

「エンタープライズ・モビリティを導入する際のハードルを下げるのがWindows 8です。CIOやIT部門はこの可能性をCEOに説き、トップダウンでスピーディーな変革を進めていただきたいと思います」(田中)。

ステージ2またはステージ3の段階に進んでいる日本企業は少数です。特に、ステージ3の「経営管理の高度化」については、モバイル時代の前から取り組んできた海外のグローバルプレイヤーに大きな差をつけられています。しかし、悲観する必要はありません。エンタープライズ・モビリティを実装することで、一気にキャッチアップすることも可能です。

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