Skip to main content Skip to Footer

LATEST THINKING


調査と事例から学ぶ、女性活躍の推進が企業経営にもたらすメリットとは?

女性のためのアナリティクス基礎講座:開催レポート(4)

概要

2014年5月中旬、結婚、出産などライフスタイルの変化に合わせて働き続けられる環境作りに強い関心を持つ女性たちが集う「女性のためのアナリティクス基礎講座」が2日間にわたって開催されました。

2日目には、参加者の中から、働く女性であり子育て中の母でもある2人がゲストスピーチに立ち、それぞれの知見や経験を共有しました。本稿ではその様子を紹介します。

古くは明治維新後の福沢諭吉が唱えた男女同権論に始まり、平塚らいてうや与謝野晶子の母性保護論争など、女性の社会的地位の向上や働く女性と子育てについての論争は、長い間、人権問題や社会政策として語られてきました。

この歴史が第2次安倍内閣で大きな転換期を迎えています。どのように変化したのかは、国連総会や世界経済フォーラムといった公の場における安倍総理大臣の次のような発言を聞けば分かるでしょう。

「いかにして日本は成長を図るのか。ここで成長の要因となり、成果ともなるのが、あらためて言うまでもなく、女性の力の活用にほかなりません」

「いまだに活用されていない資源の最たるもの。それが女性の力ですから、日本は女性に輝く機会を与える場でなくてはなりません」

つまり安倍内閣では、女性の活躍を人権問題でも社会政策でもなく、経済成長戦略の中核として位置づけたのです。

女性活躍が経済成長を促進

なぜ女性の活躍を推進することが、日本の経済成長を促すことにつながるのでしょうか。

経済産業省 経済社会政策室の坂本里和氏は、「グローバル競争で勝ち残るには、女性、外国人、高齢者、障がい者など多様な人材を活用して、生産性向上など成果を上げる必要がある。女性の活躍推進は、そのダイバーシティ経営をうまく日本に根づかせるための試金石となる」と説明しました。

女性が活躍する企業のメリットとしてまず挙げられるのが、市場ニーズへの対応力です。家計支出のうち購買決定権を持つのは、日本では約7割、世界的にも約6割が女性という調査結果があります(参考:成長戦略としての女性活躍の推進(経済産業省 経済社会政策室))[PDF, 4.74MB] 。グローバル市場のメインプレーヤーである女性顧客のニーズに応じた商品開発や販売戦略を考える上で、多くの消費者に近しい感覚を持った女性の視点は重要になります。

また、女性役員が1人以上いる企業は経営破たんの確率を20%減らせるという調査結果もあります。集団での意思決定の場に男性とは別の視点を持った女性が入ることで組織的な視野が広がり、リスク管理能力を高められ、変化に対する適応能力も向上させられるからです。

数値的にも女性活躍の効果は顕著です。全世界の企業において、女性取締役が1人以上いる企業は、1人もいない企業に比べて6年間の株式パフォーマンスで26%上回り、特に2008年のリーマンショック時に良い業績を残していることから、環境変化にも強いことが分かります。

米国での調査によると、5年間のうち少なくとも4年間、女性役員の人数が3人以上の企業の方がゼロの企業より、株式の投資基準とされるROS(売上高利益率)、ROIC(投下資本利益率)、ROE(株主資本利益率)などの経営指標が良い傾向にありました。加えて、育児介護支援や柔軟な職場環境の整備に積極的に取り組む企業は、何もしていない企業に比べて生産性が2倍以上高いという調査結果もあります。

実例が示す成功企業の進化

女性中心で開発された日産自動車のコンパクトカー「ノート」は、子どもを抱いて乗り降りしやすいように85度まで開く後席ドアを採用したことが受け、ガソリン登録車で5カ月連続販売台数1位を達成しました。

キリンでは女性が商品企画に関与したことで、妊娠・授乳中の女性のニーズに応えたノンアルコールビール「キリンフリー」や清涼飲料水「世界のKitchenから」などのヒット商品が生まれ、縮小するビール市場に代わる新たな市場の開拓に成功しています。

ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイでは、全社員6時間(9時~15時)労働制を導入し、労働生産性を前年比で25%増加させました。

7歳と4歳の娘を育てながらリクルートライフスタイルで主席研究員として働く加藤史子氏は、自身の経験を踏まえて、「第一子出産を機に、時間に対する価値観は一変した。作業的な仕事は長時間かけられる人の方が成果を出せるが、着眼点や創造力を生かして課題解決に取り組むような仕事なら、時間に制限があっても成果を出せる」と話します。

加藤氏自身は、時間短縮勤務ではなく、働く時間と場所の選択を自分の裁量に任せてもらい、能力によって成果を図るフレックスタイム制、いわば“時間シフト勤務”を活用してきました。子育てと仕事を両立している周囲の友人たちも、時短勤務をとりながら、早朝、出勤前のメールチェックや子どもが寝た後に家で仕事をするなど、働く時間が単純に短くなっているわけではないという。「女性が活躍しやすい職場に必要なのは、最大の成果を出すために適した時間シフト勤務の考え方だろう」加藤氏はその様に締めくくりました。