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「女性活用は経済問題」――女性が輝く社会の実現に向けて

女性のためのアナリティクス基礎講座:開催レポート(2)

概要

データサイエンティストの仕事に興味がある。また、多様な人材が持続的に働ける環境やワークスタイルの実現に積極的にかかわり、貢献したい――。そのような女性を対象に、アクセンチュアのアナリティクス部門は2014年5月、無償セミナー「女性のためのアナリティクス基礎講座」を東京都内で2日間にわたって開催。製造、金融、情報サービス、通信、流通などさまざまな業種の企業や、中央官庁、地方自治体、医療機関、NPOなどで活躍中の36名が参加しました。

この連載では、このセミナーで取り上げた4つのトピックを順番に紹介していきます。第2回目の本稿は、特別ゲストとして登壇した森まさこ女性活力担当大臣の講演「女性が輝く社会づくり」を紹介します。

【講演者】
女性活力担当大臣・男女共同参画担当大臣
森 まさこ氏

女性活躍に変化の兆し

みなさん、こんにちは。今日、私が着ている服「赤いドレスと白いジャケット」は何を象徴しているか分かりますか?「赤と白」で日本の国旗をイメージしているんです。先日出張で、ワシントンDCとニューヨークに行った時に、アメリカを代表する女性実業家の一人、ケイト・スペード氏がデザインしたこの服を買いました。

このアメリカ訪問では、IMF(国際通貨基金)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事に会いました。ラガルド氏は2012年の日本訪問の時、「日本に眠っている一番の宝は女性ですね。日本女性の就業率が男性並みに上昇すれば、日本の国民1人当たりのGDPは4%程度も伸びるんですから」と言って、日本のおじさまたちの度肝を抜いた女性です。また日本に来て、あの時のように、驚きの発言をしてほしいとお願いしたところ、快く受けてくださいました。

日本の女性は、非常に高い教育を受け、世界でもトップレベルの頭脳を持っているとされます。男性と同じ教育を受け、大学4年生までの平均値では、女性は男性より成績が良いにもかかわらず、社会に出た途端に人材として生かされない。これが日本の実情です。

それでも少しずつ、変化の機運はあります。2013年4月には、安倍総理大臣が経済界に対して「女性をもっと登用してください、まずは役員に1人は女性を入れてください」と要請しています。政府も民間にやれと言うばかりではありません。自らも行動しなくては反発が大きくなるのは当然ですから、国家公務員における女性管理職比率を積極的に上げようと取り組んでいます。

2013年8月には全国初の女性の県警本部長が岩手に誕生していますし、2014年4月には人事院の総裁に初めて女性が就任しました。国家公務員における女性の管理職比率は2013年1月の2.7%から、安倍内閣発足後の同年10月には3%と0.3ポイント高まっており、これまでの3倍のペースで上昇しています。

国家公務員における女性管理職については、その比率を各省ごとに数字データ化し、通信簿をつけました。男性はランキングが大好きなんですよね(笑)。最下位だった国家公安委員会委員長の古屋圭司大臣が真っ先に反応して「こんな不名誉な記録は自分の代で塗り替える!」と言ってくれました。実際すぐに、前述の岩手県警本部長を登用するなど、これまでにはなかったポストへの女性の登用を進めています。

女性活用

一方で、企業における女性の活躍については、2014年1月から女性の役員や管理職が何人いるかなど登用状況を内閣府のWebサイト上で公表しています。名付けて、「女性の活用『見える化』サイト」です。公表することで、女性活用に力を入れていると認知が高まった企業は、投資家、就職活動の学生、消費者からの人気が出て、株価も上昇します。

これまで女性の活躍は、人権問題や社会政策として語られてきました。経済成長戦略として位置づけたのは安倍内閣が初めてで、世界でもあまり例のないことです。各国の女性大臣がAPEC(アジア太平洋経済協力)で集うと、「うらやましいなぁ」と言われます。女性の問題を経済成長戦略の中核にすることは、国家のためでもあります。そこに、これまで男性たちは気づいてこなかったんですね。

新しいことをしようとすると、できない言い訳が必ずどこかから噴出するものです。女性活用が進まないとする人たちの言い訳は決まっていました。「活躍してくれる女性が近くにいない。見つからない。だから、女性を活用したいのはやまやまだが、できない」。だったらということで、「女性人材リスト」を作ることにしました。社外から女性役員を登用しようという会社には、そのリストの中から自由に選んで活用していただきたいと考え、体制を整備しているところです。

また、活躍してくれる女性が身近にいないのは、そういう人材を育てていないからなんですよね。育て方が分からないという企業には、女性をどうやって活躍させたらいいかというマネジメントのトレーニングができるよう「育ボス(イクボス)」の支援を提供しています。

こうやって1つ1つ「できない」言い訳をつぶしているところですが、さらに2014年6月には、新成長戦略“ニューアベノミクス”が公表します。ここでは女性活用の問題をもっともっと強く打ち出す予定です。子育てをしながら働く、あるいは子育てに専念する、そのどちらを選んでも女性が活躍できるように、法律、税制、社会保障など、国のシステムを抜本的に見直していきたいと考えています。

女性が活躍する社会を作るには、景気が好転している、今が絶好のチャンスです。安倍総理が「女性活用」と繰り返し声を上げているこの機会に、働く女性を増やし、2020年までに指導的地位にいる人の3割を女性にする。これを達成できれば、人事決定権を持つ地位に女性が就くことになり、女性の登用や働きやすい職場作りがしっかりと続いていくことになります。

育児休暇を取った男性の方が言うには、育児休暇によって短時間で効率良く仕事をするスキル、仕事と家庭とのメリハリをつける能力が高まるそうです。これは企業全体の効率化につながります。「残業して長時間働くことが会社への貢献ではなく、短時間で成果を出すことこそが会社への貢献だ」というようにマインドが変化すれば、女性が活躍できる社会というだけでなく、さまざまな働き方を許容した社会の実現、さらには、労働力人口の減少という問題への処方箋にもなります。