課題

通信業界は長年の間、スピードとスケールの両面におけるイノベーションにチャレンジし続けてきました。様々なディスラプションやコンバージェンスの荒波の中、通信事業者は高まる消費者のニーズや、高度なアジリティとイノベーションに期待を寄せる企業のニーズを満たすために、新たなアプローチが求められています。さらに、5Gへの移行に伴ってコネクテッドデバイスやデータが爆発的に増加している状況も、これまでの運用のあり方の抜本的変革を不可欠にしています。これは、2~3,000万人の顧客にサービス提供をするか、5億台を超えるデバイスを支える通信ネットワークをサポートするか、というほどの大きな違いなのです。

同時に、旧来の通信ネットワークの導入と運用にかかる膨大なコストは、通信事業者が苦しみ続けてきたプレッシャーとして、イノベーションや5Gをはじめとする次世代テクノロジー提供への障壁でもありました。

こうした状況を踏まえ、楽天モバイルは逆風を乗り切るための新たな方法を模索していました。同社が求めていたのは、旧来の「99.999%の可用性」といったような指標を越え、「信頼性」から「回復力」へのフォーカスと、通信事業者としての効率性、そしてプラットフォーマーとしてのアジリティも両立させたいと考えました。

これを楽天モバイルは、世界初クラウドネイティブ、完全仮想化モバイルネットワークを構築することで可能にしました。 これは、通信ネットワーク、通信業界全体でも全く新しいアプローチでした。

「当社のアドバンテージが、グリーンフィールドだから、と言われることがありますが、私たちの強みは高いスキルを備えた人材と、独自の文化です。楽天モバイルは、単なる通信事業者ではなく、優秀なITエンジニアを擁するIT企業であり、これこそが私たちの最大の強みなのです。」

— タレック・アミン氏, 楽天モバイル代表取締役副社長兼最高技術責任者

アクセンチュアの取り組み

楽天モバイルはディスラプティブ・イノベーション、ソフトウェア開発、デリバリーエクセレンスを重視する、グローバルなイノベーション企業です。楽天モバイルのネットワークはこうした企業文化から生まれたものですが、そのビジョンを実現するためには、確固たる実績とビジネスへの正しい知見、そしてテクノロジーリーダーシップを融合させ、新しい仮想化ネットワークを事業化させるパートナーが必要でした。そこで、楽天モバイルが白羽の矢を立てたのがアクセンチュアでした。

アクセンチュアは、楽天モバイルが求めるスピードとアジリティの要件を満たし、通信業界の常識を塗り替えるディスラプションを起こすべく、同社のイノベーティブなクラウドネイティブ運用モデルの設計と導入・展開を、多角的に支援しました。

アクセンチュアは、世界初の完全仮想化通信ネットワークを支える組織体制、運用モデル、新しい役割や責任の定義からKPIまでを含めた設計を支援しました。この新しいモデルをサポートするには30以上もの完全仮想化プロセスを構築し、従来とは異なる独自の新しい運用が必要でした。そこでアクセンチュアは、仮想ネットワーク機能(VNF)のライフサイクルプロセスの開発を支援したほか、サービス信頼性エンジニアリング(SRE)によるオペレーションに取り組むとともに、変更管理、インシデント管理、リリース管理等を実現する新たな手法の再構築を支援しました。

また、アクセンチュアは同社の新たなネットワークエンジニアリング機能の構築を支援し、ネットワークの可観測性やパフォーマンス、問題管理、アーキテクチャの整合性を向上させるエンジニアリングソリューションを定義・展開。これはクラウドをはじめ、ソフトウェア・デファインド・ネットワーキング(SDN)、先進のハードウェアソリューションを組み合わせたネットワーク内で行う複雑な取り組みとなりました。

アクセンチュアとの協働によって、楽天モバイルはネットワークとITをシームレスに融合し、DevSecOpsやアジャイルなどのコンセプトを組織に浸透させました。アクセンチュアは、楽天モバイルの新入社員向けのオンボーディングトレーニングの設計・実施を支援。デジタル製品開発プロセスの構築も支援することで、新機能をスムーズかつ迅速に展開できるようにしました。

さらに、アクセンチュアは従来のネットワークオペレーションセンター(NOC)のあり方を再構築すべく、楽天モバイルのサービスエクスペリエンスセンター(SXC)の新設とその事業化も支援しました。この取り組みは、ネットワークでの顧客体験の向上にフォーカスするための次世代コンセプトです。独自のポッド構造アプローチをもとに、アクセンチュアは楽天モバイルのネットワークパフォーマンスの高速化と安定性の向上を支えています。

アクセンチュアは、楽天ネットワークオペレーティングシステム(RNOS)を通じて、「ゼロタッチ」運用環境の構築も支援しました。RNOSは卓越したネットワークインテリジェンスと自動化によって、ネットワークとユーザーの360度ビューを実現しています。クラウドネイティブのこのプラットフォームは、ネットワークをほぼリアルタイムで監視・制御し、収集したデータを機械学習で分析することで予防的に障害を検出・回避できるようになります。

「アクセンチュアは当社の事業およびネットワークの構築において、卓越したサポートを提供してくれました」

— サギブ・ドラズニン氏, 楽天モバイル、オペレーションVP

人とカルチャー

これまでさまざまな成果を上げてきたパートナーシップと同様に、楽天モバイルとアクセンチュアの協働では、何をするかだけではなく、「どのように」取り組むかが重視されました。文化的な相性は、適切な技術的スキルやノウハウと同じくらい重要な要素です。

アクセンチュアは開始当初から想像力を最大限に発揮させ、リスクを覚悟の上で同社のプロジェクトの成功にコミットしてきました。というのも、すでに楽天モバイルは既存のルールや決まったソリューションなどが全くない、未知の領域に踏み込んでいたからです。こうした状況で成功するためには、思い切って飛び込み、試行錯誤しながら適応・学習し、変化していくということが、最適な方法だったのです。そして、このアクセンチュアのアプローチは、新しい大胆な冒険において、楽天モバイルの新しい発見への感覚を増幅させ、未知の領域を開拓する準備を後押ししました。アクセンチュアは、世界中にめぐらされたグローバルネットワークから最高の人材、ケイパビリティ、アセットを結集させ、共に新たな道を切り開いたのです。

創出された価値

楽天モバイルの完全仮想化ネットワークが稼働を開始するやいなや、クラウドネイティブの新しい運用モデルがもたらすメリットが表れ始めました。一般的な 通信事業者と比べて運用コストは大幅に抑えられ、楽天モバイルの世界レベルの自動化プロセスによって、ソフトウェア・デリバリーは飛躍的ペースで加速しています。

また同社のCI/CDを推進するカスタム構築のDevOpsプラットフォームはビルド・テスト・セキュリティ・実装を自動化させることで、比類のないスピードと品質を実現すると同時に、楽天モバイルのイノベーション・スピードを確実に加速させています。そしてこれらが実現する運用コスト削減は直接ユーザーに還元され、楽天モバイルの料金プランは日本の一般的な携帯キャリアの利用料金体系と比べて大幅に抑えられています。

ユーザーにとって、これはかつてない魅力的なサービスと言えます。楽天モバイルのネットワークは提供開始からわずか1カ月で、一般的な通信事業者と比べてデータトラフィックが大幅に増加し、加入者数も急増しました。同社はお客様が低価格で信頼性の高い通信を求めているということを確信するとともに、同様の良質なサービスをグローバルにも展開していくという、未来の展望を固めることとなりました。 楽天モバイルは、これからも恐れることなくリーディング・イノベーターとして、アクセンチュアのようなパートナーとともに業界の変革に挑んでいきます。

アクセンチュアは、パートナーとして楽天モバイルと、次の進化に向けても着手しています。その1つが、Rakuten Communications Platform(RCP)です。楽天モバイルの卓越したエンジニアリングスキルとアクセンチュアのアーキテクチャおよび技術実装の組み合せが実現する真のクラウドネイティブの5GプラットフォームであるRCPは、コンピューティングと通信のコンバージェンスで始まる新しい時代をリードしていくのです。

「勇気が必要な冒険を共にしてくれたアクセンチュアのチームに、感謝しています」

— タレック・アミン氏, 楽天モバイル代表取締役副社長兼最高技術責任者

アクセンチュアが支援した世界初となる 楽天モバイルの完全仮想化クラウドネイティブ・モバイルネットワークの特徴

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