XR テクノロジーとクラウドサービスとの連携 - Accenture の取り組みご紹介
2018/07/13
2018/07/13
アクセンチュアでテクノロジーコンサルティングを担当しているシニア・マネジャーの鈴木章太郎です。テクノロジーアーキテクトとして、主に、各社パブリッククラウド(AWS/Azure/GCP)上での、モバイル及び XR(VR/AR/MR) アプリ開発、AI 基盤構築、マイクロサービス基盤構築、DevOps アドバイザー等々、最新テクノロジー・開発手法等の適用を通じたお客様の業務改革を支援しています。
Technology Vision 2018
以前書いた ACTS (Accenture Connected Technology Solutions )に関するブログで、Technology Vision 2018についてご紹介しました。
www.accenture.com/jp-ja/insight-technology-trends-2018
Accenture は、特定の技術や特定のプロダクトを持つ IT ベンダーとは異なり、顧客と市場に深くコミットした日々の活動の中から本社の CTO 及び担当者が、あらゆる業界において今後3年以内に大きな影響を及ぼすと予想されるテクノロジーと、現在企業が取りうる対応を調査し、これを顧客及び市場に提供しています。これが Accenture Technology Vision といわれるもので、毎年策定されます。
この中から、今回は、拡張現実(XR)というピラーについて、クラウドサービスとの連携を含めて考察します。
XR とは
XRというのは、Extended Reality すなわち拡張現実のことで、その内実は、VR、AR、MRに分かれます。
東洋経済の特集記事に、アクセンチュア・テクノロジーの マネジング・ディレクター 山根さんのインタビュー記事があります。そこにはこう書いてあります。
「XRはさまざまな“距離”を消滅させるもの、と考えると理解しやすいかと思います」
「テクノロジーそのものも魅力的ですが、本質的な価値は圧倒的に安価にこういった仕組みを実現できるようになることです。数千〜数万円レベルの投資で、簡単にシステムを構築できますので、Youtuberのようにアバターを使って配信を行う『Vtuber』もすでに登場しており、配信者と視聴者は双方向のやり取りが可能となっています」
ここでは主に VR について書かれていますね。アクセンチュアとしては、多数の海外の事例がありますが、国内ではまだこれからです。
こちらに、BMWの事例をご紹介します。ビデオをぜひご覧ください。iOS ARKit を使った自動車の購入前の疑似体験ですね。
https://www.accenture.com/jp-ja/success-bmw-digital-transformation-augmented-reality
また、この絵は、アクセンチュアとしては、このあたりをターゲットにしていますよ、というスライドです。MR は AR の中の一つとして位置付けてありますね。主に、Google、Apple、Microsoft、等の技術を活用してソリューションを提案していきます。
VR/AR/MR の違い
それでは、 VR/AR/MR の違いはどこにあるのでしょうか?
実際に、Windows 10 April 2018 Update(バージョン1803)の Mixed Reality Viewer で、T-Rex のホログラフを呼び出してみましょう。ここでは、AIT(アクセンチュア 麻布十番オフィス)のデモ用のブースの机の上に呼び出しています。こちらに向かって歩いてきています。影も机に映っていますね。
この中で、それぞれこの場面が、
ということになります。
VR は分かり易いですね。すべてが仮想の世界で構成されています。
AR でよく例として説明されるのは、皆さんご存知の Pokemon Go でしょうか?この場合、現れる Pokemon のホログラフは座標を持っていますが、現実の世界(駐車場、公園等)とは干渉はしません。あくまで捕まえることができるオブジェクトというだけになっています。
MR では、これらがすべて干渉することになります。すなわち、もしこのデスクがいま急に取り外された場合、この T-Rex のホログラフは床に落下することでしょう。
実際に、試してみたものがこちらです。途中で手でこの T-Rex をどかしています。これで、MR というものが良く理解できると思います。
皆様も、Windows 10 April 2018 Update(バージョン1803)の Mixed Reality Viewer を使えば、簡単に試せますので、ぜひお試しください。
HoloLens のデモアプリご紹介
このような MR の特性を踏まえて、こちらの金融機関向けデモ概要をご覧ください。Digital Wealth Management というソリューションです。営業の各プロセスをサポートすることで、営業力を抜本的に向上させることを目的としています。
Cloud との連携
こちらが、ソリューションのイメージ図です。本ソリューションの目的は、HoloLensの特長を活かして、投資関連情報の閲覧に、新たな顧客体験を創出することにあります。すなわち、投資家とアナリストがこの HoloLens アプリのシェアリング機能を使うことで、物理的に離れたところにいながらにして、適宜、適切なアドバイスが得られるというしくみです。このシェアリングの仕組みには、そのプロセスがホストされるバックエンドとして、Microsoft Azure が使われています。
こちらは、HoloLensから見える、アプリの画面サンプルです。特定のチャートを見つめると(Gaze コマンド)、マイクのアイコンが出てきて、そこに向かって名前を呼ぶと(Voice コマンド)、特定の市場が出てくるというフローになっています。HoloLens の Gesture コマンドにより、画面遷移をスムースに行うことができるようになっています。
こちらは株式・債券のアプリのイメージです。こちらも同様に、Gesture により、各チャートの一覧から詳細に、画面遷移が可能です。各チャートのデータは、現在は、SQL Azure Database からダミーのデータを決め打ちで引っ張ってきていますが、実際に証券会社側で可及的にリアルタイムで提供する基盤を作り、配信することも可能です。
そして、株式投資など金融商品以外にも、例えば美術品のような高額の投資相談にも、柔軟に対応することができ、特に富裕層向けのサービスとして、現実味があるソリューションであると言えるでしょう。この場合、拡張現実のアプリなので、実際に手に取ってみるように、3Dでスキャンされた実際に美術品のオブジェクトの拡大・縮小等を行い、その評価と商談を、実際に鑑定者と購買者と仲介者が、同じアプリをシェアリングすることによって、場所と時間を気にせず、ディスカッションすることができるわけです。このアプリでは、そのあたりのデモも作成してあります。
今後の展望
現在、証券会社担当営業や、他のインダストリー部門からも、色々なフィードバックを貰って新たなソリューションの展開を検討しています。Cloud との連携という意味では、現在は、シェアリング機能のホスティングや SQL Azure Database との連携がメインですが、Cognitive Services 等と連携させたり、各社クラウドの持つ機能との連携も視野に入れています。チャットボットではなくホログラフとの対話を楽しむことも可能でしょう。
また、ビジネスアプリとしては、Google BigQuery の結果をより分かり易い View として提供することもできます。Windows のアプリなので、この中から新たなクエリーを組み立てて実行することも可能です。
さらに、Accenture Digital が開発した AI Hub により複数のクラウドベンダーのAI 基盤から適切なものを選んで連携させることも可能です。そして、前々回の私のブログエントリーでご紹介した ACTS は、サービス連携基盤ですので、HoloLens のアプリを、この ACTS のモバイルドメインのフロントエンドの一つとして、位置付けることもできます。
HoloLens アプリそれ自体の開発は、Unity と Visual Studio を使って Windows アプリ開発とほぼ同じようにできますので、エンタープライズ企業内への展開も速やかに行うことができます。今後、技術力の高い、外部のパートナー企業様とも、適宜連携して行く予定です。
もし、現在のデモで動くものが見たい、ぜひ触らせて、といったご要望がありましたら、前回もご紹介した、Accenture Innovation Hub Tokyo (AIT)(麻布十番オフィス)にて、随時デモを実施していますので、ぜひお気軽にお声がけくださいませ。
https://www.accenture.com/jp-ja/accenture-innovation-hub-tokyo