アクセンチュアでテクノロジーコンサルティングを担当しているシニア・マネジャーの鈴木章太郎です。テクノロジーアーキテクトとして、主に、各社パブリッククラウド(AWS/Azure/GCP)上での、モバイル及び XR(VR/AR/MR) アプリ開発、AI 基盤構築、マイクロサービス基盤構築、DevOps アドバイザー等々、最新テクノロジー・開発手法等の適用を通じたお客様の業務改革を支援しています。

デジタル時代の開発プラットフォームに不可欠なポイント
外資系のITベンダーなどで仕事をしていると、各組織のミッションからロジカルに導かれる形で、必ず技術や製品の開発に至ったヴィジョンが語られ、それをもとに製品のロードマップなどが作られていくのが通常です。

これに対して、Accenture の場合は、特定の技術や特定のプロダクトを持つ IT ベンダーとは異なり、顧客と市場に深くコミットした日々の活動の中から本社の CTO 及び担当者が、あらゆる業界において今後3年以内に大きな影響を及ぼすと予想されるテクノロジーと、現在企業が取りうる対応を調査し、これを顧客及び市場に提供しています。これが Accenture Technology Vision といわれるもので、毎年策定されます。

本資料では、企業がどのようにテクノロジーを活用し、人々の暮らしに溶け込んでいくと予見しているかを詳細に解説します。今後、企業には人々とビジネスだけではなくパーソナルな関係性を築くことが求められます。

Accenture のテクノロジービジョン 2018については、下記をご参照ください。

www.accenture.com/jp-ja/insight-technology-trends-2018


ACTS (Accenture Connected Technology Solution)とは
このテクノロジービジョンは、それぞれ密接不可分に関連しあっています。今後、当ブログの中でも各要素について少しずつご紹介していければと思います。

今回は、主に「トレンド4 摩擦ゼロ・ビジネス(Frictionless Business)」の個所に関連する、Accenture の開発・運用基盤である ACTS(Accenture Connected Technology Solution)を紹介します。

新しいテクノロジーを採用することにより、それに賛同する複数のパートナー企業との連携が生まれてきます。それぞれの企業は、これを利用してビジネスの拡大を企図することができます。従来の経営システムにはない、急激かつ俊敏かつ規模等にとらわれない関係構築により、競争を勝ち抜くため、内部変革に各企業が取り組み、オープンかつシンプルな新しい開発基盤を構築する必要があります。

そのために、マイクロサービスをベースとするアーキテクチャーを基盤に、個々のデジタルソリューションを1つのプラットフォーム上で連携し、顧客体験(サービス)の提供から顧客関係管理(CRM)に至るまで、お客様のビジネスをエンドツーエンドでサポートするソリューションがあれば、大規模パートナーシップにおける迅速なビジネス展開が可能になります。

ACTS の開発コンセプトは、いかにして、デジタル時代のビジネスの立ち上げ、新商品・サービスの市場投入のスピードを高め、またリスクを軽減するか、というものです。デジタル・エコシステムのアジャイルな構築に必要なすべてのベース機能と開発機能を備えたACTSは、まさに『イノベーションへのチャレンジ』にフォーカスするための仕組みです。

 https://www.accenture.com/jp-ja/service-accenture-connected-technology-solution-fs


ACTS をベースにしたソリューション事例:
この ACTS を採用して開発したことを既に公開している事例には、下記のものがあります。また、これからも続々と増えていく予定ですのでご期待頂ければ幸いです。

https://www.accenture.com/jp-ja/success-accenture-dai-ichi-life-application

 

ACTS のアーキテクチャーブループリント
ACTS は、全ての機能がコンテナベースでクラウド上に構築され、API で外部とも内部ともつながる、API エコシステム・エコノミー時代に向けたソリューションとなります。

フロント側のモバイルドメインを含めアジャイル開発基盤を瞬時に構築したうえに、ACTS のサーバーを迅速に構築することができます。また、ビジネスのスピードを停滞させないように、外部内部の様々な変更に対し、API をベースに連携することで対応しています。

 

特に、下記の図の右にある、既存システムとの連携は、この ACTS 導入における障壁の低さを表すものの一つです。例えば、メインフレームとの連携といったら、皆様、特に開発者の方は、どのような内容を思い起こすでしょうか?当該メインフレームの機種に始まり、入出力のデータのフォーマット、連携の方法、連携のためのミドル、等々、それだけでも一つのシステムインテグレーションのプロジェクトが成立するくらいの、大きなものになりがちです。しかしここでは、ロボティクスの API を呼び出すだけにしています。これは、人間がメインフレームのダム端末を叩いてコマンドを実行するのではなく、ロボットが代わりにそれを実行し結果(多くの場合にはデータ)を連携させるのです。RPA によるオフィスワークの自動化ではなく、メインフレーム対応業務の自動化です。この方式であれば、既存システムの大きな改修をする必要がなく、そのままの形で、新たに構築するデジタルプラットフォームとの統合が迅速に可能となります。

また、AI による分析・アクションドメインの提供により、例えば顧客がどの画面からどこに遷移したのか、使われている機能は何か、最も使われない機能は何か、等の導線の記録がされ、ユーザーの行動が分析され、真にパーソナライズされた画面を提供することができます。同時に提供企業にとっては、新機能の開発のヒントを得ることができ、またマーケティング用の機能を入手できることになります。

開発者にとっての ACTS
ACTS に限らず、開発者にとって、あるいは開発者として今後のキャリアを検討している人にとっても、このような基盤を意識しておく、知っておく、あるいはこのような基盤の上でアプリを構築してみる、等はとても良い体験になると言えるでしょう。

例えば、「マイクロサービスアーキテクチャーを採用すべきだ」と言われても、その適否については様々なディスカッションポイント(論点)が存在します。まずは、純化されたマイクロサービスアーキテクチャーの議論も極めて重要です。加えて、どのようなシステムにどのように適用すれば良いのか、実際の設計・開発をやってみる必要があります。そこであらためて、分散システムへの深い理解と洞察が必要であることに気づかされる開発者も多いことでしょう。

他でもそうですが、実際に手を動かしてみないとわからないことは多いのです。詳しくは稿を改めますが、コンテナ化を検討するうえではじめて Docker を実装し、Docker コンテナのオーケストレーションとして Kubernetes を実装してみて初めて、初めてマイクロサービス化することの重要性や制約が分かったりするものです。大事なことはアーキテクチャーを理解して実際に手を動かす経験をすることにより、開発者としての価値がさらに上がるということになります。マイクロサービスの設計について興味のある方は、さらにこの記事などを合わせて読んでみてください。

"マイクロサービスの境界を決める「DDD」とは?"
http://ascii.jp/elem/000/001/659/1659834/

AIT(Accenture Innovation Hub Tokyo)
弊社・麻布十番オフィスにあります、Accenture Innovation Hub Tokyoにおいて、お客様向けに、ACTS 上で動くデモアプリのご紹介や、技術的な詳細に関するご説明を提供しています。ぜひご来場戴ければ幸いです。もちろん個別にお話をお伺いすることも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

Accenture Innovation Hub Tokyo

https://www.accenture.com/jp-ja/accenture-innovation-hub-tokyo?src=PSEARCH

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