完全リモートで実施!GCPを活用したDataグループの新卒社員向けデータエンジニアリングトレーニング
2020/09/08
2020/09/08
テクノロジーコンサルティング本部 Dataグループ シニア・マネジャーの青柳雅之と申します。私はこのグループのケイパビリティビルディングを担当するとともに、Accenture Google Business Group (AGBG)でソリューションアーキテクトを兼任しています。
今回のブログでは完全にリモート環境で実施した新卒向けエンジニア研修について紹介します。アクセンチュア(AGBG)のCloud 4 Marketing(C4M)というGCPベースのソリューションをハンズオンの環境として活用しています。同じくDataグループでケイパビリティビルディングに携わる菅野裕也、横山祐樹、津山晃一、戸村幸次郎、飯塚希翔を中心に企画、実施を行いました。
■Dataグループで必要なスキル
DataグループではData Strategy、Data Platform、ML/AI Engineering、Data Utilization、Data Integrationといったデータエンジニアリング全般の領域でコンサルティング業務を行っています。テクノロジーコンサルティング本部のエンジニア職として保持すべき共通のスキルや資格、トレーニングが定義され、個別にDataグループのメンバーとして必要なスキルと資格、トレーニングがトレーニングマップとして定義されています。Dataグループのメンバーはこのトレーニングマップを見ながら必要なスキルを得るためのトレーニングに参加していきます。ちなみにパブリッククラウドは必須のスキルとして定義されています。
Dataグループのトレーニングマップ(概略)
■アクセンチュアのC4Mソリューション
例えば、Webサイトやデジタル広告におけるマーケティング施策の主要なゴールは、コンバージョンを向上させることです。なお、コンバージョンとは、顧客が実際に商品を購入したり、イベントに参加するといった最終的な成果のことを指します。
コンバージョンにいたるまでの顧客の流入経路(カスタマージャー)やデモグラフィック属性、取引履歴を統合できれば、例えば消費者をセグメンテーションし、LTV(Life Time Value,顧客生涯価値)を求め、LTVの低いセグメンテーションの顧客に対して施策を打つといったように、LTVに応じたマーケティング施策を検討することができます。
C4Mのデモ画面
GA360/CRMのデータを可視化しカスタマーの流入経路、セグメンテーション、LTVを可視化
実はここに、デジタルマーケティングの課題があります。このような統合を行えている組織は意外と多くありません。組織・システム間の分断によるデータがサイロ化していることに起因しています。これ解決する手段としてアクセンチュア(AGBG)のソリューションであるCloud for Marketing(C4M)が有効な手段となります。C4Mは日本ではアクセンチュア インタラクティブと我々Dataグループに所属するAGBGのメンバーでソリューション化を実施しています。C4MはGCPが提供するエンタープライズレベルのデータウェアハウスであるBigQueryを中心としています。グローバルに利用可能なクラウドスケールのデータサービスを使用して、インサイト主導のユースケースをGoogle Cloud上にすばやく構築できます。
今回のトレーニングではC4Mの環境を使い、データエンジニアリング全般を学ぶカリキュラムとなっています。
■数字で見るDataグループの新卒向けエンジニアトレーニング
新卒社員の人数は伏せておりますが、弊社の場合、毎月のように新入社員、中途社員が入社してきます。本トレーニングでは27名ものメンバーが企画、コンテンツ作成、スピーカー、ファシリテーター、サポーター(新卒メンバーをチャットでサポート)として関わっています。サーベイの結果、トレーニングの理解度も4.7/5と非常に高いものになっています。
■クラウドとデータエンジニアリング全般をカバーするトレーニング内容
トレーニングのセッションはいわゆる座学と、ハンズオンとワークショップを中心としてアクティビティの2つに分類されます。ハンズオンでは考えさせるような課題をだしてはいません。コードを打てばそのまま打てるようにしてありますので、初学者でも作業の流れを掴みやすくしています。あえて難しい課題を与えて試行錯誤してもらうというアイデアもありましたが、今回は短期間で時間も限られていることから、理解の速さを優先しました。また、Tableau社の多大な協力のもと、ハンズオンでTablauの製品を利用しています。今回はTableau Desktopを利用しましたが、後日、Tableau Prep BuilderのハンズオンもTableau様のご協力のもと、実施しています。
トレーニングのセッション(一部)
GCPとTableauのハンズオンマニュアル
■リモートでデザイン思考ワークショップの実施
アクセンチュアには、「_FORM_」と呼ばれるイノベーション創出のためのフレームワークがあり、デザイン思考はそのうちの1つです。お客様先で模造紙と付箋を使ったワークショップを多数行ってきましたが、コロナ禍の影響でそのようなワークショップが開催できなくなってしまいました。しかしながら、MURALというオンラインでのコラボレーションを志向したデジタルワークスペースを提供するツールを用いて完全リモートでデザイン思考ワークショップを開催することができました。我々ファシリテーターはこのツールを使ったことがなかったのですが事前に練習をして臨みました。
命題は「アクセンチュアは顧客の中期経営計画をサポートするのにデータを活用して何ができるのか」です。このデザイン思考ワークショップはトレーニングの最後に行いました。そのため、メンバーはトレーニング期間中に学んだデータに関する知識を駆使することができており、「データのサイロ化が課題」も常識として扱われていました(全く未経験であればこのようなアイデアは出ません)。すぐにメンバーはMURALの操作に習熟し、問題なくワークショップを楽しんでいました。
■完全リモートならでの工夫
テクノロジーコンサルティング本部では、新卒社員全員が入社後に1か月ほど様々な技術を学ぶ、「Tech Boot Camp」と呼ばれるトレーニングに参加します。Dataグループの横山祐樹もこのトレーニングのファカルティとして参加しましたが、こちらも完全リモートで実施しているのでそのためのノウハウが蓄積されており、横山を通じてこの我々のトレーニングにも活用させてもらいました。
■新卒社員の声
サーベイを取得したのでその一部を紹介します。「組織の理解が深まった」、「事例を聞いて仕事のイメージがわいた」、「学習へのモチベーションが上がった」、「ハンズオンがわかりやすい」とおおむね好意的な意見が多くみられました。一方で、サーベイでは理解度は4.7と高い数字が出るも、コメントでは概要は理解できたが難しい、という内容も散見されました。ただし、これは想定通りです。あえて難しい内容も入れることで自らの知識とのギャップを認識してもらい学習のモチベーションにつながることを期待しています。
• 配布資料があったため、事前に操作したことがあったので特に迷うこともなく操作ができました。また適宜質問やできているかの確認があったため問題なく操作できました。
• 具体的な事例をたくさん紹介していただけてとても分かりやすかったです。
• 講義もハンズオンも要点が絞られていて、大変理解しやすかったです。Tableauに触ることもでき、楽しく学ぶことができました。
• 具体的な事例ベースでお話いただいたので、どのようなところで活用されるか理解できました。
• 様々なクラウドを用いた事例を紹介していただき、丁寧に説明されていたので、理解するのに問題はありませんでした。
• GCPのクエリのSQL文についてはだいたいわかりましたが、出てきた値一つ一つの意味や図の味方などは調べながらという感じで、まだキャッチアップが必要だなと感じました。
• 資料内の頻出ワードを検索しながら、講義を受講いたしました。理解が追い付いてない箇所もありますが、概ね理解することができました。
■アセットの有効活用 - トレーニングマテリアルの録画の社内公開
ハンズオン以外の主なセッションは録画を行いました。社内の動画サイトにアップロードしており、社員はいつでもオンデマンドで参照できます。中途入社の社員の方にも組織を知ってもらうためのトレーニングに活用できる見込みです。
■Dataグループとは
データは企業における新たなオイルであり、今後はデータを中心にしてビジネスは変わります。Dataグループはそのデータに関わる全てのアジェンダを網羅した専門性とオファリングを持ち、アクセンチュア内のあらゆる部署との協業を通してお客様に高い価値を提供します。
■参考
クラウドを用いたデータ活用のあるべき姿
クラウド人材育成 組織のAWSケイパビリティをカスケード式に拡大する(3) 運営の中での気づき
クラウド人材育成 組織のAWSケイパビリティをカスケード式に拡大する
クラウド人材育成 組織のAWSケイパビリティをカスケード式に拡大する(2) 開始から11ヶ月で有資格者が加速度的に増加
アクセンチュアにてTableau勉強会を開催! クラウド&ビッグデータの分析プラットフォームTableau(前編)
アクセンチュアにてTableau勉強会を開催! クラウド&ビッグデータの分析プラットフォームTableau(後編)
デザイン思考によるデータ分析における問題、仮説の定義と合意プロセス