AWSサービスアップデート(2021年7月~9月)のご紹介
2021/10/29
2021/10/29
はじめまして、アクセンチュアの齊藤です。
クラウドを活用したシステム基盤の設計構築や、クラウド導入・移行の計画策定及び実行などを担当しております。
クラウドサービスでは、日々新しいサービスや機能が発表されています。例えばAWSは一年間に2000回以上ものアップデートを発表しています。我々がお客様に正確でより良いサービスを提供するためにも、最新情報のチェック、知識のアップデートは欠かせません。
私は、主にWhat's new with AWS?をチェックして、知識をアップデートしています。以前は通勤時間中に記事を読むことを習慣としていましたが、コロナ禍により在宅ワークする日がほとんどになり、チェックを忘れてしまうこともありました。また、仕事・プライベートが忙しいと情報収集する時間をなかなか作れないこともあります。
読者の方々の中にも、最新情報をチェックしたいが時間が取れないという方もいらっしゃるかと思います。そこで今回は、直近3ヶ月(2021年7月から2021年9月)に発表された494のAWSサービスアップデートのうち、使ってみたいと思ったアップデートをいくつか取り上げてご紹介します。
AWS Step Functionsはワークフローを使用して、各種AWSサービスの実行を制御するサービスです。例えばAWS Lambda関数の呼び出し、Amazon DynamoDBのアイテム読み取り・書き込み、Amazon SQSへのメッセージ送信などを、条件分岐を伴うワークフローで制御することができます。
従来、AWS Step FunctionsのワークフローはAmazon States Language(ASL)と呼ばれるJSON形式の独自言語で記述、設定する必要がありました。馴染みのないユーザにはややハードルの高い作業です。このアップデートでリリースされたWorkflow StudioはAWS Step Functionsのワークフローを視覚的に設定することができる機能です。AWSマネジメントコンソールでアイコンをドラッグアンドドロップすることにより、簡単にワークフローを設定することができるようになりました。
AWS CloudFormationはJSON形式またはYAML形式で記述されたCloudFormationテンプレートに従ってAWSのリソースを自動でプロビジョニング(作成・設定)するサービスです。CloudFormationの実行は様々な理由で失敗する場合があります。例えば、以下の理由が考えられます。
* テンプレートで定義したAWSリソースの設定が不正である
* リソースの作成・設定に必要な権限が不足している
* AWSアカウントに設定されたサービスクォータ(使用数の上限)を超えている
* AWS側のリソースキャパシティが不足している
今まで、CloudFormationの実行が失敗すると、実行前の状態までロールバックする仕様でしたので、作成が成功したAWSリソースがあったとしても削除されることとなります。使用するAWSサービスによっては、作成・削除に時間がかかることもあり、トライアンドエラーで失敗原因を修正することが困難でした。(例えば、Amazon RDSインスタンスの作成・削除には30分以上を要することもあります。)
このアップデートでは、CloudFormationの実行が失敗した場合にも、既に作成・設定に成功したAWSリソースはその状態を維持することが可能となりました。これにより、今までロールバックのために要していた時間を短縮し、素早くトライアンドエラーを繰り返すことができます。
Amazon Managed Service for Prometheus (AMP)とAmazon Managed Grafana(AMG) はOSSのPrometheusとGrafanaをマネージドで提供するサービスです。本サービスは、昨年のre:inventでプレビュー版として発表されていましたが、今回正式版となり、東京リージョンでも利用できるようになりました。
Prometheusはリソース監視を行うOSSであり、クラウド環境やコンテナ環境の監視を志向して開発されました。Grafanaはデータを可視化するOSSであり、Prometheusで収集した監視データを可視化する際によく用いられるソフトウェアです。Prometheus及びGrafanaを使用したい場合、従来は自分たちでPrometheusサーバ、Grafanaサーバを構築し運用する必要がありましたが、AMP、AMGを使用することによりサーバの管理が不要となります。また、AMP、AMGはMulti-AZレプリケーションで冗長化されており可用性も担保されています。
AMP、AMGともにAmazon SNS経由でのアラート通知、AWS IAMでの権限の制御に対応しているほか、AMGはAWS Organizations、AWS SSOとの機能連携もあり、様々なAWSサービスと連携しているところも魅力です。
MicrosoftのサーバOSであるWindows Serverの最新版「Windows Server 2022」のAMIが利用できるようになりました。日本語版のAMIもしっかり利用できるようになっています!
Windows Server 2022はセキュリティ、クラウド(Azure)統合、コンテナの3つの主要テーマで機能強化が図られました。Windows Server 2022の新機能については、Microsoftの公式ドキュメントをご確認ください。
ネットワークロードバランサー(NLB)のターゲットとしてApplication Load Balancer(ALB)を指定し、トラフィックを転送することができるようになりました。
NLB及びALBはともにAWSの負荷分散サービスであり、それぞれ異なった特徴を持っています。NLBはL4相当のロードバランサであり、NLBへアクセスする際のIPアドレスを固定することができます。また、AWS PrivateLinkの機能を使用して、独自のアプリケーションをプライベートに公開することも可能です。ALBはL7相当のロードバランサであり、IPアドレスは動的に変化する一方で、URLやHTTPリクエストヘッダに応じたトラフィックの振り分けや、AWS Lambdaへのトラフィック転送が可能です。
アップデートによりNLBのターゲットにALBを指定することができるようになった結果、両者の特徴を組み合わせて活用することができるようになりました。例えば、AWS Lambdaで実現するサービスをAWS PrivateLinkで公開するようなユースケースが考えられます。
従来、AWSマネジメントコンソールにおいて、Amazon VPCやAmazon EC2はリージョン毎に閲覧する必要がありました。EC2 Global Viewは全てのリージョンのVPC、EC2インスタンスを横断的に閲覧・検索できる機能です。リージョン毎のVPC、サブネット、EC2インスタンス、EBSボリューム、セキュリティグループの数を表示することができるほか、それらのリソースを一覧表示し、リソースIDやタグ名で検索、詳細情報表示することができます。
現状、リソースの一覧表示で閲覧できるのは、Tagに設定した値、リソースID、リソースタイプ、リージョンの4つのみであり、それ以上の情報を閲覧する場合は、リソースを選択して個別に表示する必要があります。コスト節減のために、意図せず起動したままになっているEC2インスタンスがないかチェックするようなユースケースもあることも多いため、EC2インスタンスのステータスなど主要な情報を一覧表示できるようになるともっと嬉しいですね。
以上、7つのサービスアップデートをピックアップしてご紹介しました。今回紹介しきれなかったアップデートもたくさんありますので、皆様もこの機会にAWSの最新情報をチェックしてみてはいかがでしょうか。AWSの情報をキャッチアップする方法については、弊社積田の投稿「AWS技術情報キャッチアップ方法」も是非ご覧下さい。
2021年11月末からは、AWSの大型イベントre:inventが予定されています。毎年re:inventでは、多くのサービスアップデートが発表されます。今年もどのようなアップデートがあるか楽しみですね!