クラウド人材育成 OJT編 クラウドエンジニア・技術コンサルタントの育成の基本はメーカーの工場にある (後編)
2019/02/01
2019/02/01
クラウド推進事業本部 シニア・マネジャーの青柳雅之と申します。私はAWSやAzure、GCPといった主要なパブリッククラウドを使用したIT Modernization、ビッグデータ分析基盤等の構築やクラウド人材育成を担当しています。
以前の記事、「組織のAWSケイパビリティをカスケード式に拡大する」,「クラウド人材育成 組織に拡大したAWSのケイパビリティを短期のリスキリングでAzureのケイパビリティに転換する(1)」では、クラウドの技術コンサルタントを育成する方法を紹介しました。この記事の前編では、これらのトレーニング方法を実施するに至った背景や考えを記載しました。後編では社内のトレーニング後に実際にOJTを実施する際の要点をまとめてみます。
プロジェクトにおけるOJT
カスケード式トレーニングによって、メンバーはクラウドの主要サービスを理解し、すぐに仕事に取り掛かれる状態になります。メンバーがこの状態にあれば足手まといにならず戦力になり、人数的にスケールすることが可能です。カスケード式トレーニングは社内におけるトレーニングでしたが、OJTでは次を実施することで早期にメンバーがリーダーとして独り立ちできると考えています。
どのような仕事にも対応できる多能工を増やす AWSやAzure、GCPのトレーニング同時に行う
当初はゆっくり順番にAWS/Azure/GCPを学んでいく予定でしたが、ビジネス側のデマンドでそうも言っていられなくなり、また、トレーニーの成長も早く、Azureに続いてGCPの学習グループも立ち上がりました。AWSの経験者、もしくはカスケード式トレーニングの修了者が学習していますので、おそらく習得が早いです。最近入社した社員はこの3つのクラウドのうち、同時にいずれか2つのクラウドの学習グループに入ることが多いです。学習はおそらく大変ですが、これらのパブリッククラウドは似ている部分も多いため、異なるクラウド間の差異を知ることで実は個々のクラウドの理解も深まるというメリットもあります。
プロジェクトリーダーやその上のマネジメントの仕事
プロジェクトリーダーが一番技術に詳しく、下のメンバーを引き上げる育成能力を持つことが理想です。完全には無理だとしても、その方向に向かうかどうかは、その上のマネジメントの考え方に依存します。マネジメントが、「既存のプロジェクトリーダーには技術力もないし、育成も能力的に無理だしリスキリングも厳しい、管理と調整だけやらせよう」と思うのであれば、おそらく共有リソースモデルを選択するでしょう。この構成でメンバーに不満がなければ、まだ有効に機能すると思います。しかし、マネジメントが、「一部のスキルもやる気もあるメンバー」に「技術を向上する気持ちもスキルもない人たち」のサポートをさせる意識でこの体制を構築した場合は問題が出るかもしれません。「日々努力をして技術力をキープしている正直者が損をする」モデルになるため、ハイスキルのメンバーほど待遇によっては、より技術力のある他の組織に流れていくのではないかと思います。「クラウド人材育成 組織に拡大したAWSのケイパビリティを短期のリスキリングでAzureのケイパビリティに転換する(1)」の内容の再掲になりますが、以下に記載します。
課題解決者は、専門家としてのナレッジをもってこそ活躍できる
技術的な要素を廃した意味における課題解決者と言えども、顧客とのコミュニケーションや、ファシリテーション能力、ロジカルシンキングだけだけでは新しい何かを生み出すことは難しくなっています。技術はエンジニアを呼びますから、では通用しなくなるでしょう。ビジネス課題から適用する技術を考えるだけではなく、常に最新の技術をキャッチアップし、新しく得た技術知識を起点にビジネス課題への解決策を考えることも必要となる時もあるでしょう。今、クラウドに携わっている若手社員が、いずれは技術も管理もできるマネージャーとなり、我々の本部が技術面で真に強い組織になることを望んでいます。