未来を拓く今:Workplace Pride2022イベントレポート②
December 26, 2022
December 26, 2022
2022年9月30日に開催された、世界中の職場におけるレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、インターセックス、クィア(LGBTIQ+)の人々の生活向上を目的としたNPO法人であるWorkplace Pride主催のイベントの様子について、アクセンチュアのLGBTQアライ(支援者)が紹介するシリーズ第2回目は、プライドハウス東京支援を担当するチームに所属する横光 明己さんです。
こんにちは。テクノロジー コンサルティング本部でプロジェクトの運用効率化やメンバーの働きがい向上を考えつつ、約2年前からアクセンチュアのインクルージョン&ダイバーシティ(I&D)の取り組み領域の一つの活動推進を担う、LGBTQアライ・コミッティの活動で外部団体との協働に携わっている横光です。
私とアクセンチュアのLGBTQ アライ・コミッティ活動との接点は、入社初月の2020年2月、コロナ感染症が拡大する前に実施された、最後のオフライン社内イベントから始まりました。イベント参加者として、穏やかで心地良い空気の中で率直な意見を交わし、まず自分にできることとして、’Be proud of myself.’ を胸に刻んだのが最初の思い出です。
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その後もオンラインイベントに継続的に参加して居心地の良さを確かめ、はじめての社会人生活にも馴染んできた2020年9月、正式にLGBTQアライ・コミッティのメンバーとして登録しました。
SOGI*1に迷うことが数多くあり、かつ、人間の生きやすさとオリンピックの両方に興味が高かった私にとって、アライ活動としてプライドハウス東京支援*2に携わることができるようになったのは、幸運なめぐり合わせでした。LGBTQ当事者として、社内外にアライや心地よい居場所の存在を見出し、安心して意見交換できることに加え、コミッティの活動を通して、一社会人として、本務のプロジェクトとは異なるフェーズや価値観を持った業務に取り組むことができるため、やりがいを感じています。
*1 SOGI(ソジ)とは、Sexual Orientation & Gender Identityの頭文字で、性的志向と性自認の意味。どんな性に恋愛感情を抱くのか、また自らが自認している性についての概念を表します。
*2 プライドハウス東京とは、2019年のラグビーワールドカップの日本開催、及び2020年(当初予定)の東京オリンピックをきっかけに日本で立ち上がった、セクターを超えた団体・個人・企業・大使館などが協働するプロジェクト。LGBTQ+などの性的マイノリティに関する情報発信を行うホスピタリティ施設を設置し、多様性に関する様々なイベントやコンテンツの提供することを目指しています。アクセンチュア・ジャパンのLGBTQアライ・コミッティは、その設立検討時期から活動を支援しています。
今回のイベントには、最先端のLGBTQ+の知見に触れ、自分にできることの認識を新たにすべく、参加しました。一般的に見て、平均的な人よりはLGBTQ情報が入ってきやすい環境にいても、専門に活動している方や他社のアライ活動に取り組んでいる方の生の声をじっくりと聴くことのできる機会はとても貴重です。本務のプロジェクトで運用効率化・職場改善のためデータ活用をする機会も出てきたため、データ分析に関する分科会も楽しみでした。
今回は、私自身、それぞれの場面で届けられるメッセージに涙腺も刺激されたイベントの様子を、順に紹介していきたいと思います。
アクセンチュア・ジャパンでI&Dをリードする堀江 章子による開会スピーチでは、アクセンチュア(グローバル・グループ)で働く約72万人の社員が、互いに個を尊重しつつI&Dを重視していること、また、日本企業においてもI&Dの指標は株主評価に大きな影響があることを、アクセンチュアの調査に基づき共有しました。
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イベントを主催したWorkplace Prideの「自分の属性に悩まず集中して仕事に打ち込むことのできる職場環境の実現が、今後の人材獲得にとって重要であり、一人ひとりがチェンジメーカーとして社内制度や指針、カルチャーづくりに取り組んでほしい」という呼びかけが、会場の一体感をさらに高めました。
ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングのジョイ・ホーさんの基調講演では、幼年~青年期のSOGIにまつわる苦悩についても紹介され、個人的に共感する部分が多く、その分現在のホーさんのお茶目さとパワフルさをあわせ持った、幸せそうな存在感に勇気づけられました。
LGBTとアライのための法律家ネットワークのアレクサンダー・ドミトレンコさんは、「変革の機動力は、各々が自らの声を出し、会話・対話を重ねること」とロジカルでありつつ、熱く語り、そのメッセージに思わず涙を誘われました。「婚姻の平等は、未来でも、今でもなく、過去においても必要だったくらいなのに、まだ実現されていない」という言葉に、心から共感しました。「2年あれば達成できると思う」という言葉に、自分自身の期待もこれまで以上に高まっているのを感じています。
「日本でLGBTQIと言えばこの人!」と紹介のあった、虹色ダイバーシティ 村木 真紀さんの講演では、国際的な視座から、日本のLGBTQに関する取り組みの遅れが紹介されました。「地方公共団体や企業は歩みを進めてきているが、政府が国として法制化していなければ、国際的には0点として扱われる」ことについては、私も認識しておらず、意識を新たにしました。「若い人こそが、ここで住みたい・暮らしたいと思える国でなければ」「自分は以前、孤独に生きていくんだろう、と想像していた。今はそれとは違う未来にいる。だからこそ、若い人たちにはもっと明るい未来を見てほしい」という言葉に、また涙腺が刺激されてしまいました。
ランチ休憩を挟み、開催された分科会セッションでは、虹色ダイバーシティ 村木さんによる、「職場におけるLGBTIQ+とデータ分析」に参加しました。その分科会では、まるで少人数の教室のように、密でナチュラルな言葉のキャッチボールが交わされました。いろいろなデータが紹介されましたが、データの収集や活用について、対象者の母数が少ないこともあり、まずは対象となる方から信頼を得ること、目標を明確に設定した上でアンケートや図表を作成すること、ひと口にマイノリティといっても、その中にある多様性を前提にした言葉を使うこと、といった基本でありながら、実践的な情報が共有されました。他の分科会でも、LGBTIQ+と女性の共通の困りごと、アライ活動を進める際のさまざまな悩みなど、活発な議論が交わされたそうです。
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続いて、全体会場では、アクセンチュア・ジャパンのインクルージョン&ダイバーシティ LGBTQ Pride日本統括 篠原 淳も登壇し、エグゼクティブパネルが行われました。パネラーとなった4人の方が、それぞれの立場から、いろんなエピソードや意見を紹介しましたが、特に、東京レインボープライド 杉山 文野さんが話された、「誰もが年を取れば体を動かしにくくなるし、明日車いすが必要になるかもしれない。また、外国に行けば自分が外国人になるし、同性を好きになるかもしれない。もしくは、家族や好きな人がそうかもしれない。一生そうならないかもしれないけど、明日にはなるかもしれない。だから、みんなの明日を明るくしよう」というメッセージに対し、高い説得力を感じ、強く印象に残りました。
今回のイベントでは、日本のLGBTQインクルージョンの最前線を走る方々が多数登壇され、どの方にも「日本のLGBTQに関する理解や取り組みは、以前より前進してきてはいるが、遅れている」というスタンスが一貫していて、さらなる前進への意欲を強く感じることのできた体験でした。
会場では、ネットワーキングや休憩の時間に、初対面の方同士が、挨拶をしながら、自然と繋がっていく様子が多く見られました。その光景を見て、LGBTQインクルージョンに真剣に取り組んでいる方の多さを感じ、胸が熱くなりました。其処此処で、それぞれが理解していることや、今できることを交換しあって広がっていく、まさにコレクティブ・インパクトを体現したような空間でした。ちなみに、私を含めアクセンチュアのスタッフは皆揃いのTシャツを着ていたため、ゲストの方から「素敵な会場!また使わせてください」とお声がけいただけたり、他社の方から「最近アライ活動を始めたのですが…」とご相談いただけたり、充実した時間となりました。
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最後に、イベント同日(9月30日)、偶然にも、日本人男性と海外で結婚したアメリカ国籍の男性に、在留資格を認める判決が出ました。また、11月には東京都同性パートナーシップ宣誓制度の運用も始まりました。個人的には、「結婚」というものを縁遠いものとして受け止めていましたが、ここ数年は、自分ごととして考えられるように変わってきました。その一つをとっても、今に至るまで、たくさんの誰かの苦労や願い、努力が積み重ねられ、その先に今があるのだと感じます。私も、自分にできる、また誰かとならできるような、「未来を拓く今」を重ねていくことを誓いたいと思います。
レポート第1回:変化する未来のために:Workplace Pride2022イベントレポート①
アクセンチュアのインクルージョン&ダイバーシティの取り組みについてはこちら。
アクセンチュアのLGBTQ Prideに関する取り組みについてはこちら。