アクセンチュアのビジネス コンサルティング本部に所属し、組織人材領域のコンサルティングに携わっている北條です。特に人材育成のプロジェクトでの専門性を高めようと、これまでもDX人材育成などのプロジェクトに参画してきました。

アクセンチュアの企業の社会貢献活動であるコーポレート・シチズンシップ(以下CC)の取り組みは、経験者採用で入社したときから知っていました。プライベートで中高生向けのキャリア教育をテーマとしたNPO活動をしていることもあり、いつかしっかりと関わりたいと思っていたので、高校教育を中心とした学校教育支援を行っている一般社団法人Foraと協働し、その人材育成プログラムを支援するプロジェクトへの参画社員を募集する応募メールを見たとき、ぜひやりたいと手を上げました。

 

探究学習での困りごとをコンサルスキルで解決

学校教育支援を掲げるForaは、2018年から探究学習の取り組みを行っており、2021年から本格的にアクセンチュアとCCの枠組みにおいて、Skills to Succeedのテーマのもと次世代グローバル人材の育成を目指し、協業を開始しました。

探究学習は、教師が立てた問いに対し生徒たちが正解を探すのではなく、生徒自身が問いを立て、その答えを出したいという「探究心」を大切にして学習を進めていく方法です。そのため、「生徒の主体性」をいかに引き出せるかが重要なキーワードになってきます。

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学習チャート fora

生徒自らの探究心を大切にしていくための学習イメージ

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また、問いを立てることはできても、答えを導き出すためにどのように情報を集めたらいいのか、また集まったたくさんの情報をどう論理立てて整理したり、検証に使ったりすればいいのかなど、思考のプロセスで躓いてしまう生徒さんがいらっしゃいます。そして指導する側である先生方も、普段の全体授業以上に、生徒一人ひとりに個別指導が必要となることや、思考のプロセスをサポートするという単体教科の指導とは異なるサポートを行う必要があり、この新たな取り組みに対する専門性・ノウハウ不足の中で、負担が大きくなっているという課題がありました

そのため、アクセンチュアでは、この課題解決に対し、コンサルティングで用いているロジカルシンキングやリサーチなどのスキルが、学習過程の中で探究を進めていくための大きなサポートになると考え、3つのスキルを身に着けることを目的とした探究スキル・アップ・ワークショップを開発しました。

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高校でのレクチャー fora

コンサルティング業務で用いている考え方やスキルを伝授

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このワークショップは、情報整理、情報収集、調査計画という3つの段階を設定し、それぞれ2回授業を行います。それぞれの段階で学べる内容や特徴は、以下の通りです。

<情報整理編>

生徒がすでに知っている情報や、過去に調べた情報を整理し、構造化する方法を学びます。

具体的には、情報整理フレームワークであるロジックツリーを学び、その手法を探究学習で活用することを通し、個々の情報を意味のある形でつなぎ合わせ、その中で抜けている情報や、追加で調査すべき情報、また新たに関連する問いを見つけることを目指しています。

<情報収集編>

問いをもとに情報収集の目的を明確にする方法や、情報収集の目的に合わせて、「さがす」「つくる」の2種類の情報収集手法の使い分け方と、それぞれのコツ、例えば検索におけるコツや、情報収集のための質問項目を設定する際のコツ等について、具体的なケースに沿って学びます。

<調査計画編>

情報収集編で定義した、目的に合った必要な情報、ほしい情報を限られた時間内で効率的、効果的に収集するスケジュール策定の方法を学びます。

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レクチャー用演習シート fora

学習する側の身近なテーマから、思考方法やスキルに触れていく

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以上はごく簡単な内容説明ですが、こうしたスキルは、私がコンサルティングで身に着けたスキルそのものであり、プロジェクトに携わる中で、自分が学び、受けた恩を次世代にも渡すことができるというやりがいに繋がっています

また、私自身、このプロジェクトを通し、自分の現在のスキルについて改めて振返ることができ、スキル再構築をするよい機会にもなりました。よく言われることですが、「人に教えると自分がもっとも学べる」という好例であったと思います。これは、私にとって思いがけないギフトにもなりました。

 

自分の経験や体験からも実感できるプログラムの効果

私は、このForaと協働による教育支援プロジェクトにおいて、特に情報収集編と調査計画編の開発に携わりました。自分自身、コンサルタントになりたての頃は情報収集において、効率よく計画を立てられず、避けられたかもしれない追加のやり取りを発生させたり、適切な情報を得るためのコツを知らず、必要以上に時間をかけてしまったり、また、集めた情報をどのように構造化するかなどの経験とスキルが十分でなく、途方に暮れてしまった経験をしています。その当時は、自分の無力さを噛みしめながら、社会人になる前のもっと早い段階で、このような思考に関するスキルを教えてもらえたら…と、悔しく思いました。

そんな経験をした自分だからこそ、こうしたスキルを高校生のうちに学べる機会を持てる良さや、現在の探究学習の質が上がることはもちろんですが、このプログラムを通して体験したこと、学んだことがその他の活動においても、ひいては未来においても、とても有益なものになると信じています

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レクチャークラス風景 fora

自分の考えをグループ内で紹介しながら、ディスカッションで内容を深めていく

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そして、トライアルとして、実際にこのプログラムを学校で実施した際、指導にあたられた先生からも、10代の早い段階でこのようなスキルを体験し、学ぶ機会を持てることについて、高く評価していただきました。そのトライアルには、私も立ち会うことができましたが、生徒たちが楽しみながら、なおかつ実践的な知識やスキルを学び習得している手応えを感じました。

 

新たなプログラム開発に込められた野心と期待

現在、アクセンチュアのCC活動であるこのForaとの協働による教育プログラム支援プロジェクトでは、新たに社会課題解決をテーマにした探究学習プログラムを開発しています。

今回のプログラムでも、「課題解決」という言葉が入っているように、アクセンチュアのコンサルティングで用いている思考のノウハウが大いに活かせるコンテンツとなっており、ロジカルシンキングやデザインシンキング、ヒアリングなどの実践的なスキルを盛り込んでいます。

先日、このプログラムに関連して、教員向けに短期集中のワークショップを行いました。ビジネスの現場で実際に使われている課題解決手法に対し、先生方から大きな関心を寄せていただきました。プログラム終了後には、多くのポジティブなフィードバックもいただき、しっかりとした手ごたえを感じているところです。

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高校でのレクチャー fora

これまでの成果を検証しながら、プロジェクトは次の段階へと広がっていく

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また、このワークショップの成功に際し、このプログラムのスポンサーを務めるアクセンチュアのリーダーから、高校だけでなく、将来公立中学校も対象にしていきたいという、野心的なビジョンも掲げられました。私自身は、いったんこのプロジェクトから離れますが、これから新しいメンバーも入ってきます。参画するメンバーのスキルや知見はもちろん、想いも合わせてどんどん形にし、次世代の人材育成プロジェクトで、私が体験したように有意義な時間を過ごせる人たちがこれからもどんどん増えるよう願っています

 

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