多様性が当たり前の世界を目指して~リスキル支援でできること
January 24, 2023
January 24, 2023
テクノロジー コンサルティング本部所属の川名 洋平です。私はテクノロジーアーキテクトとして、クライアントビジネスを支援するシステムの構想立案・要件定義・設計・構築を行う仕事を本業としています。
アクセンチュアの社会貢献活動であるコーポレート・シチズンシップ(以降CC)の活動では、就業者リスキル・プロジェクトに2021年秋より参画しています。参画しようと思ったきっかけは、2021年夏に大けがをし、しばらく休暇を取ったことです。その際、職場の皆さん、家族や身の回りの友人などに「支えられて生きていること」を実感し、自分自身も微力ながらも、誰かの支えになりたいと考えたためです。何ができるかを考えたときに、自身の強みはITスキルだと思い至り、誰もがデジタル化による恩恵を受けられ、豊かな生活を送ることができるよう働きかけを行っていた、就業者リスキルのプロジェクトが最も自身の強みを生かせると考え、参画しました。
私が参画しているプロジェクトでは、デザインシンキングを使った気づきをもたらす機会の提供や、課題解決型人材育成のための講座支援、各種ITリテラシー向上のためのコンテンツ提供を行っています。
例えば、いろいろなライフイベントを経て一度仕事から離れた方や、今後キャリアチェンジを考えている方に向けては、デザインシンキングの手法を使い、「将来自分はどのように働きたいのか」「その働き方をする上で今の自分の強みをどう活かすことができるか」を考えて、今後の自分を再設計する機会を提供しています。その流れの中で、就業前の若い世代に対しては、インクルージョン&ダイバーシティ(以降I&D)の重要性を考えることで、社会課題に対して解決案を模索し、アクションを起こせるような講座支援も提供しています。
このような活動を通じて、さまざまな団体の方と会話をするなかで、「アクセンチュア社内では当たり前と思っていることが世の中での当たり前ではない」と感じることが良くありました。コンサルティング業務を通じて、アクセンチュアが保有するさまざまな領域における知見を、今以上に世の中に広められたら、よりよい社会を作る一つのきっかけになるのではないかと思っています。
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デジタルビジネスの拡大やテクノロジーの活用、ダイバーシティ概念の広まりにより、変化が激しく、多様な価値観が広まる社会で活躍できるスキル・思考回路を持ち、自らの力で課題を見つけ、仮説を立て、課題を解決するといった課題解決型人材の育成、それもライフステージのできるだけ早い段階での育成が、今、ますます必要となってきていると言われていますし、自分自身も感じています。
そんな中、私が参画する就業者リスキル・プロジェクトは、社会で活躍できる課題解決型人材を育成するという清泉女子大学 地球市民学科 安齋徹教授の理念に賛同し、これまで培ってきたリスキルのノウハウを生かすべく、2021年よりコラボレーションを始めました。2021年は、そのスタートとして、安齋教授のゼミを履修する学生向けの講義のみでしたが、2022年は、大学2年生向けの必須科目での講義支援を担当させていただきました。
講義では、まずアクセンチュア社員が、エキスパートとしてI&Dに関する講義を行い、なぜこのテーマが重要なのか、学生たちに理解を深めてもらいました。そして、実際の企業での事例として、アクセンチュアのI&Dの取り組みを紹介し、企業として取り組めるアクションの共有を行いました。その後、ジェンダー・LGBTQ・国籍といった分類で設定した社会課題に対して、「なぜ課題が発生しているか」「どのような施策があり、提言したいか」「施策を実行するためにはどのようなアクションが必要か」という軸を設定し、個人・企業が取るべきアクションを、一カ月の期間で考え、発表してもらいました。
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発表準備の際には、学生から、「I&Dの取り組みを知り、利用するアクセンチュア社員の声を聴きたい」、とアンケートの依頼を受けたり、アクセンチュアの地域採用に関する情報提供依頼を受けたりなど、積極的にこのテーマに取り組む姿勢が多く見られました。発表において、特に印象に残ったのは、学生からの言葉で、「就活の面接の場では、興味があっても福利厚生のことを聞けないと感じる」、と言っていたことです。これについては、企業側の変革はもちろんですが、この講義が、学生に「自分の人生なのだから、就活の際に福利厚生(I&D)を重要視して当たり前」、と無理なく思ってもらうきっかけになれば良いな、と思いました。講義の一連の流れの中で、こういった学生ならではの視点・感性での提案・提言が多くあり、自分の中でも非常に気づきが多く、実りの多い体験となりました。
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また、授業後のアンケート結果においても、8割以上の学生から「満足」という評価をいただきました。「I&Dの理解を深められた」、「授業後、新たな取り組みを始めた」という声も多くいただき、自分のCC活動における目的を一つ果たせたのではないかと思います。
と同時に、私の学生時代にも、このような授業があれば、今の日本ももう少し違った世界になっていたのではないか、とも思った1か月間でした。
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デジタル化、働き方改革、人口低下などが叫ばれる現代において、将来の生活や仕事がどう変わり、私たちはどう変わっていくべきか。これらは、国や企業のみならず、自分自身や同僚、家族、友人など、私たち一人ひとりに深く関わる重要な課題と考えています。リスキルは、社会に浸透している概念・言葉にもなってきており、国、企業ともにリスキルの重要性を理解し、ビジネスとしても成立しつつあります。一方、個人に目を向けると、リスキルをして新しいチャレンジをしたいが、どうしたらよいか分からない、という声も多く聞きます。そういった方々に気づきをもたらし、一歩前に進めるよう背中を押し、自分の人生を豊かに楽しく過ごせる、そんなスキル習得機会の提供に寄与していけたら、と思っています。また、リスキルは、時代や状況に合わせて、希望する個々が無理なく学習継続できることが肝要だとも考えています。とはいえ、学習の継続は個人の努力だけでは難しい側面もあるので、今後、学習を無理なく継続できるようなアプローチを提供していけたら、と思っています。
社会全体も、グローバル化や人材の流動化が進み、多様な国籍、多様なバックグラウンドを持つ人々と一緒にコラボレーションすることも多くなり、より良い成果を出すためには、I&Dの理解はますます重要になってきています。I&Dの理解は、自分自身を振り返ってみても、一朝一夕では身につかず、育った環境はもとより、学校や会社で受けた教育に大きな影響を受けると思っています。会社単位でのI&Dを推進する取り組みは、大手企業を中心に浸透してきていると思いますが、高校・大学といった早い段階からI&Dを理解した上で、課題に対処するスキルを身に着け社会に出ていく。それにより、真に多様性の価値を知った人材が、変革を恐れず、誰しもを受け入れ、皆が幸せに過ごせる「より良い社会」への変革をけん引する。そして、それが、ひいては日本全体の変革につながっていくのではないか、と期待しています。
I&Dの最先端を目指し、取り組みを続けるアクセンチュアの一員として、広くI&Dの重要性を広めていくことができれば、と思っています。そして、I&Dという言葉自体を誰も意識しない、多様性が当たりまえという社会になればよいな、と思っています。
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