「社会的インパクト×AI」で準優勝! グローバルで開催されたAI Hackathonに、日本からクロスカルチャー・チームが参加
September 14, 2020
September 14, 2020
ビジネス コンサルティング本部 ソフトウェア&プラットフォーム業界担当 三谷です。
今回のLife blogでは、アクセンチュア 日本オフイスにおける社員の国籍や文化の多様性、すなわち「クロスカルチャー」について、そしてそのインパクトについてご紹介します。「クロスカルチャー」はアクセンチュアのインクルージョン&ダイバーシティ(I&D)活動を構成する4つの柱のうちの1つです。既に全社員の11% が日本国籍ではない社員となっており、今後ますます多国籍のメンバーとプロジェクトを組む案件が増えていきます。
私自身、約8-9年前に中途入社して以来、大半のプロジェクトを多国籍のメンバーとチームを組み、海外展開を目指す日本国内のクライアントと共に汗をかき経験を積んできました。私のチームも大半が日本国籍ではないメンバーです。ブラジル、フィリピン、中国、インド、イスラエル、オーストラリア、アメリカが中心メンバーでしょうか。長期休暇後に来日したチームメンバーからもらえる各国のお土産に期待出来ることが副次的なメリットです(大量のマンゴ、本格的なチョコレート、ワインなど)
仕事自体は、ほぼ世界各国にあるアクセンチュアのローカルオフィスと提携しながら進めますが、生活背景が異なる関係で予測しえない認識違いなどもあり、苦労も人一倍してきたつもりです。その分、私のチームメンバーも含めて経験を積み、今ではコスモポリタン(地球市民)に近くなってきたのではないかと自負しています。
そんなチームメンバーを中心に社内のグローバルイベントである「AI Hackathon」へ参加しました。グローバルに対して自分たちの能力、経験、チームワークがどこまで通じるのか?を確認することが目的の1つでした。
結果は「準優勝」。メンバーの国籍が全員異なり、まさにダイバーシティを体現しているようなクロスカルチャー・チームです。どのようにコラボレーションすることで今回の準優勝を達成したのか?アクセンチュアジャパンにおける仕事の進め方の一端を感じて頂ければ幸いです。また、実は、昨年も出場してグローバルで「準優勝」でした。今年こそは「優勝」を狙っていたのですが、来年へ持ち越しです。
「AI Hackathon」とは
「AI Hackathon」は、アクセンチュア・グローバル全体で開催される大型社内イベントで全社員に参加資格があります。
今回のAI Hackathonはプレゼン資料と5分以内の短い映像コンテンツの2つを成果物として提出し、審査されるという方式でした。
テーマは「AI4FutureWorkForce」として、AIと人々の仕事・働き方に関する課題にフォーカスするというものでした。
私たちのチームは「AIによって旧来の仕事からシフトし、AIによって新しい仕事が増える」という事実に着目しました。そして「スキルや経験と、職種・仕事の関連性をAIが分析し、その人に最適な代替的キャリアパスを提案するソリューション『SYNERGIA(シナジア)』を提唱しました。SYNERGIAを活用することで、誰もが自分のキャリアパスの再構築や最適化をプロアクティブに実現できます。「AIが人間の職業を奪うのではないか」という話の中で、しばしば「馬車の仕事を自動車が奪った」ことが例として挙げられますが、長期的にみると「フォードはアメリカに産業振興と雇用増大をもたらした」と言われています。「AI4FutureWorkForce」は、AIによって新しい働き方へとシフトすることをアピールしているアクセンチュアのメッセージが込められたテーマでもあったと思います。
我々のチームは、今回のAIと人々の仕事・働き方に関する課題を「社会的な課題である」と捉え、AIによる分析でキャリアマップを提案する新しいツールを提唱したことが斬新でした。加えて、映像コンテンツが他の参加チームよりも抜群にハイクオリティであったことも高く評価されたポイントでした。
個性的なメンバーを「ビジョン」で統一する、「サラダボウル式」チーム形成
メンバーの国籍も社歴も違うこのチームは、いわば「マイクロ・アクセンチュア」と自負しています。多様性、出来る限り異なるバックグラウンド/国籍、能力のメンバーを集めることで、チームとして「出来る」ことを増やしています。これは普段のプロジェクトでも心掛けていることです。どうしても日本人だけのチームだと考え方の幅が出ず、声が大きなメンバーに引きずられる傾向があります。誰も未来を読めなくなってきている世界で声の大きい方が間違っていたらチーム全体に大きな影響を及ぼします。そういった事態を避けるためにも、私は常に多様性に富んだチーム構成を心がけています。
チームや組織をどう構築するか。2つの考え方があります。1つはアメリカで主流の「メルティングポット式」。一方で移民の受け入れに積極的なカナダなどで主流の「サラダボウル式」です。メルティングポットでは、さまざまな具材を煮込んで混ぜ、味を統一させます。サラダボウルでは食材は形も味もバラバラですが、ドレッシングで味の統一感を演出します。チームにおける「ドレッシング」とはビジョンです。1人ひとりの個性はそのままにしつつ、1つのビジョンで考え方や方向性、価値観などを一致させていくアプローチです。これが結果的に大きなシナジーを生みます。イノベーションや新しい技術や手法を求められるプロジェクトにおいては、「サラダボウル式」の方が大きな成果につながりやすく、今回のグローバルイベントでの「準優勝」はそれを証明、実感することが出来ました。
今回のチームメンバーの構成は以下の通りです。
エズラ/カナダ:映像作成を担当。社内コンテストに関する経験が豊富。「どう見せ、どう魅せれば、審査員に刺さる表現になるのか」を熟知
ビクター/ブラジル:データモデル設計、プロトタイプ作成。現場メンバーの取りまとめを担当。クライアントCTOクラスからも評価されるほど、圧倒的な技術力をバックグラウンドにしてアーキテクトとして複数のテクノロジー案件をリード。
レイ/中国:コーディング、プロトタイプ作成。新しいテクノロジーに強く、コーディング能力はクライアントからも高く評価
ジュリー/フィリピン:UI/UX設計・画面。昨年の映像ですが、グローバルAI Hackathon準優勝に端を発して彼女に出演してもらった採用向け動画を共有致します。1分強の映像ですが、彼女の人となりがよくわかると思います。 YouTube
ご覧頂いた通り、上記のメンバーと私は全員国籍が異なり共通語は英語になります。肩書はそれぞれありますが、上下関係に関係なく、ビジョン、チーム方針に沿って各々が発言、認め合える、信用力がこのチームの強みだと思っています。普段のプロジェクトでも私が気づかない点を先回りして進言してくれたりして、非常に助かっています。
「_FORM_(フォーム)」:新しいコンサルティングの手法とプラグアンドプレイで機能するチームワーク
今回の成果物を作るにあたり、どのようなアプローチや段取りをとったのか、少しだけご紹介します。「AI4FutureWorkforce」という大きいテーマは事前に公開されていましたので、前日にメンバーで軽いブレインストーミングをしておきました。Hackathonは2日間。大きな流れはこのような形でした。
●今回のチームメンバーの動きの全体像
Day 1
AM サブテーマ発表。メンバー全員でデザインシンキング
PM ビクター、レイ:データセットの確認、モデルの実現性の検証
ジュリー:UI/UX設計・画面モックの作成
Day 2
AM ジュリー:UI/UX設計・画面モックの作成
ビクター、レイ:アーキテクチャ設計
PM エズラ:映像制作(驚異的なスピードでの制作!
ビクター、レイ:コーディング
アクセンチュアでは現在「_FORM_(フォーム)」という新しいコンサルティングの手法を展開しています。この方法論で我々が活用するスキルは、例えば以下のようなものです。
Design Thinking(デザイン思考)/ Agile Ways of Working(アジャイルな働き方)/ Data fluency(データの流ちょう性)/ Value Creation(価値創造)/ Storytelling(ストーリーテリング)
これらは従来の典型的なロジカルシンキングに基づいたコンサルティング手法を、進化させたものです。これからのビジネスは旧来の課題解決や効率化の枠のみならず、新しい発想や顧客体験がさらに求められてくるので、考え方もコンサルティング手法も変わらないといけません。顧客体験や従業員体験の観点も踏まえ、ヒトによるAI活用の最適解を導き出すのにより適したオープンイノベーション志向なコンサルティングで、一方的な提案ではなく、お客様との協働を意識した手法となっています。
今回も「_FORM_(フォーム)」に沿って成果物作成を行いました。当然フレームワークだけではなく、これらに沿って具現化するプラグアンドプレイで機能するチームワークが大きな成功要因でもあります。「_FORM_(フォーム)」のようなフレームワークと多様性に富んだチームワーク、この2つが両輪となったことがグローバルでも評価されたと考えています。チームとしてはビジョンをクイックに共有して、各自がやるべきことにすぐに取り掛かっていました。各自が受け持つプレイグラウンドをセットし、「コンセプトはこれ。」「枠組みはこう。」と決めて共有するだけ。各自が枠組の中での動き方を知っていますから、好きにアレンジしてOKという自由度も、強みのシナジー効果とコラボレーションになったと思います。
New Normalな働き方
Covid-19の影響でオンサイトとオフショアという概念がなくなりました。目的のために、リモートでどの国籍の社員とも働いていくこと、クロスカルチャー、ダイバーシティは言葉だけではなく行動、より身近な働き方として求められていくはずです。アクセンチュアでは半歩ほど早く、こういった取り組みにチャレンジしています。
今回の記事を通してアクセンチュアでの働き方の一端が垣間見られたのでしたら、幸いです。大切なことは「個人の強みを最大限に発揮できること」です。こうした機会を会社が提供してくれています。興味を持ってくださった方がいらっしゃれば嬉しい限りです。一緒に働けることを楽しみにしています。最後までお読みいただき、ありがとうございました。