この記事はテクノロジーコンサルティング本部所属の青柳雅之、吉田智哉、横山祐樹の3名で執筆しております。

我々は次のロールとしての活動も行っています。

・Accenture Google Business Group (AGBG) Solution Architect

・Accenture Cloud Capability Group (Cloud CG)と呼ばれるコミュニティの運営メンバー ※社内の部門横断のクラウドのコミュニティ

・Japan Google Cloud User Group for Enterprise (Jagu'e'r) デジタル・クラウド人材育成分科会 運営メンバー

 本記事では、Google Cloudカスケード式トレーニングについての取り組みを主に紹介します。

 

目次

1. カスケード式トレーニングとは
2. カスケード式トレーニングの現状
3. カスケード式トレーニングの新しい取り組み
4. 新たな取り組みを通してわかった課題
5. 今後目指す先について

 

 

1.カスケード式トレーニングとは

カスケード式トレーニングとは、クラウドの知識習得と資格取得を目指すトレーニングです。生徒が毎週決められた範囲を予習し、翌週に講師からの質問に一問一答形式で答えるトレーニングです。
インプットとアウトプットを毎週少しずつ行うことで知識の定着を目指しています。詳細は以前の記事をご覧ください。

仕組化とスケーラビリティを意識したGCPエンジニアの育成施策

2.カスケード式トレーニングの現状

現在、カスケード式トレーニングは、AWS、Google Cloud、Azureの三大クラウドで実施しています。私が所属するTechnologyのDataグループ内では2019年2月に始まり、累計150人を超えるメンバーが参加しました。
3年近く続いていますが、いくつか問題も発生しています。
本トレーニングでは週2回、1回あたり1,2サービスを学習します。1回のトレーニングは30分と短いのですが、事前学習のコストが講師、生徒共に大きく、業務と並行して対応するとかなり負荷が高い状態です。
開発者向けのリファレンスを教材として利用しているため、読みこむ分量がとても多くなっています。
ドキュメントベースで学習しており、製品仕様は詳しくなります。一方で、実装に落とし込む力や要件に対して最適なアーキテクチャを作る力が伸びず、現場で即戦力として活躍するには道半ばの状態です。

3.カスケード式トレーニングの新しい取り組み

上記の課題を踏まえGoogleCloudのカスケードトレーニングでは、下記二点の改善を行いました。

  • 短期集中型

 Google Cloudは他のクラウドベンダーに比べて、サービスの数はまだ少ないですがそれでも主要サービスだけでも30種類程存在します。従来のカスケード式トレーニングでは週二回のトレーニングで、2~3サービス扱ったとしても大体3か月ほどかかっていました。
トレーニングの長期化は、生徒・講師側の負荷増加だけでなく集中力やモチベーションの低下、ひいては出席率の低下にもつながると考えられます。
そこで今回からのカスケードトレーニングでは、範囲をGoogle Cloudが提供する認定試験「Professional Cloud Architect Certification」(以下PCA)でよく出題されるサービスに絞り、トレーニング期間も週一回×8週の計二か月にカリキュラムを変更しました。
また、当トレーニングはGoogle Cloud学習の第一歩としてPCAの合格を目標としていますが、カリキュラムにもPCAの模擬試験を導入しました。
もちろんGoogle Cloudはサービスが他のクラウドに比べ少なめではあるものの、2か月ではすべてのサービスはカバーできません。
しかし、基礎となる知識(コンピューティング・ネットワーク・DB)などを抑えることにより、その他のサービスを自習する際にもハードルを下げるといった効果も狙っています。

▼短期集中型のトレーニングプログラム

#

内容

サービス

1

GCP概要

全般/GCPの概要について

2

Compute Engine/Cloud IAM

Compute Engine/Cloud IAM

3

Network

VPN/ネットワーク全般/負荷分散

4

ストレージ/DB

GCS,CloudSQL,Spanner

4

ストレージ/DB

BigQuery,Datastore,BigTable

5

PaaS/FaaS

AppEngine,CloudFunction

6

マイクロサービス

GKE,CloudRun

7

運用系サービス/IaC

Cloud Logging/IaC系サービス(DeploymentManager)

8

過去問

-

  • ハンズオン(Qwiklabs)の導入

 座学での学習はサービスの基本概念は理解できるものの、ドキュメントからのみ得た知識だけでは実際にサービスを身近に感じられない・実際に業務で使用する際に使いこなせるか不安であるというフィードバックを以前より受けていました。
確かに口頭試問は、ドキュメントの原典(1次情報)にあたる・体系的にサービスを理解するという、技術を学ぶ上では非常に大事な経験を積むことができますが、初学者にとっては実際にサービスを触って学ぶ方が時に効率的である場合があります。
中には、トレーニングに欠かさず出席し、知識はつけたもののコンソールにすらログインしたことがないといった状況もありえます。
そこで、今回からはQwiklabsというGoogle Cloudをハンズオンで学ぶことができるサイトを使用し、口頭試問と合わせてハンズオントレーニングを導入いたしました。口頭試問にて机上で理解したサービスを、実際にコンソールを触って起動・利用することにより、よりサービスを身近に感じてもらうUIを触ることでオプションの指定方法や制約も理解してもらうことを狙いとしています。
また、カスケード式トレーニングは、複数の部署を横断して生徒を集めているので、業務では**普段触らない領域のサービスを触れる機会**として活用して頂いています。(アプリケーションエンジニアがネットワークの設定を行う、ビジネスコンサルタントがウェブアプリを起動するなど)

4.新たな取り組みを通してわかった課題

先の改善を導入し新たに生まれ変わったカスケード式トレーニングですが、新たな課題も生まれています。

  • ハンズオン学習の高度化

 QwikLabsを用いたハンズオン学習は、初学者にとっては実際にコンソールを触るよい機会となりました。
一方でQwiklabsはクエストが精緻に手順化されている側面があります。
ある程度クラウドに触れてきたエンジニアにとっては、手順を実施するだけの作業となってしまい、「モチベーションが上がらない」「クエストをゴールすることができるが新たなことを学んだ気がしない」などといったフィードバックを頂いています。
社内でもクラウド技術者は数・レベルともに増加しているが故にQwiklabsだけでは試行錯誤が少なく、エンジニアにとっては物足りない内容となっていたようです。
今後は、Qwiklabsは引き続き実施するものの、中級者以上向けにもう少し難易度の高いハンズオン課題を作成予定です。(Qwiklabsのチャレンジラボを活用・Google CloudのGitHubレポジトリにpushされているテンプレートを自環境に起動してみるなど)

Google Cloud Platform GitHub レポジトリ

GoogleCloudを使用したマイクロサービスのデモなどが公開されているため、各自構築し内容を理解していく

  • 継続した参加者の巻き込み

 短期集中型にすることにより、参加者の参加者の負荷軽減と集中力の継続を実現できたように思えましたがやはり出席率の低下というのはまだまだ立ちはだかり続ける課題です。
生徒の中には日々の業務が多忙な方も多く、スキルレベルによってはドキュメント中心の学習はコストが高く感じられることから事前学習に時間を避けない→出席を見送るという悪循環が起きていると考えられます。
カリキュラムを減らすことで学習範囲は狭まりましたが、1単元は依然重く感じる方も多いのが現実です。
各自が事前学習を実施しその成果を口頭試問でアウトプットしていくことが当カスケード式トレーニングの本質ではありますが、
ハンズオントレーニングやもくもく会など、事前学習を必須としないコンテンツを増やすことで学習負荷を下げながら継続的に学習いただけるようなカリキュラムの改善を続けていきます。

5.今後目指すところ

今後、更に高いレベルの人材育成を行うために様々なことに取り組む予定です。
カスケード式トレーニングで得た知識を生かす場を設け、実践的な知識を身に着けられるようにします。3大クラウドの基本的な知識は会社全体である程度浸透しているため、更にその中で差別化できる人材育成を目指します。
資格取得だけでなく現場でエンジニアやアーキテクトとして活躍でき、クラウドを活用する案件の中核を担えるような人材を想定しています。
具体的な活動方針として、カスケード卒業生でいくつかの活動を行うことを検討しています。クラウド利用のガイドライン作成、ハッカソン参加、クラウド関連のイベントでの登壇など、インプットだけではなくアウトプットにフォーカスした活動を増やす予定です。

青柳 雅之

テクノロジー コンサルティング本部 Dataグループ シニア・マネジャー


横山 祐樹

テクノロジー コンサルティング本部 アソシエイト・マネジャー


吉田 智哉

テクノロジー コンサルティング本部 データグループ コンサルタント

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