クラウド時代の人材開発の一考察
2018/02/27
2018/02/27
アクセンチュア・クラウド・ダイアリーズをご覧頂きありがとうございます。
今日のテーマは「クラウド時代の人材開発の一考察」というテーマで少し考えてみたいと思います。
日頃、お客様のクラウド化推進のお手伝いをさせていただいている経験や、これまでクラウドを活用したITサービスを提供するエンジニアを統括してきた経験も踏まえて、クラウド時代真っ只中から今後の時代を見据えた人材育成について考えてみたいと思います。
今、日本企業が置かれているビジネス環境をみてみると、内需主導の企業経済からグローバリゼーションが進む社会環境が到来し新たなビジネスチャンスを得ています。これらの加速度的なビジネス環境の変化を支えるためには、加速度的なビジネス成長を実現するITシステムが必要であり、デジタライゼーションを活用したITをいかにスピード感をもって提供できるかが、ビジネスの成功を左右するといっても過言ではありません。
ITの世界を見てみると、これまでサーバー・ストレージ・ネットワークなどのインフラを独自に構築し、そのうえでアプリケーションを開発してきた時代から、コモディティ化した機能はクラウドサービスを極力利用し、競争力を保持する部分についてリソースを集中して効率性を高める動きにシフトしています。その要となるのが、クラウド技術やDevOpsなどの活用をいかに進めるかです。
このような環境の中、IT企画担当者、アプリ開発者、インフラ開発者などは、これまでのOSI7階層の一部を知っていればよいのではなく、横断的に知識を持ったエンジニアが必要だと言われていました。いわゆる「フルスタックエンジニア」です。ただ、理想としては正しいものの、このようなITエンジニアを多く育成することを目的にしてしまうと、このビジネススピードに追従できずにビジネスチャンスを逃すことにもなりかねません。また、すべての企業に、そのような技術吸収力の高いエンジニアが多くいるわけでもありません。これは、日本の社会的構造にも起因するもので、早急に変えられるものではないことを現場をマネジメントした経験からも強く痛感しています。
では、どうしたらよいのか。
クラウドの活用という視点からみると、特に以下のような知識・技術が新たに必要になってきます。
DevOps時代にフェーズで分けるのはナンセンスですが、直感的なわかりやすさを重視して分けてみました。
特に、迅速なビジネススピードが求められるシステム開発では、アジャイル開発を前提としたDevOpsや自動化技術を活用しながら、開発を短期間で繰り返しながら進める体制が必要になります。
細かく見ていくと、インフラエンジニアプログラミング技術を習得できれば「Chef」や「Ansible」などのツールを使ってインフラ構築を自動化できるようになっています。インフラエンジニアにはプログラミング技術が要求されています。Google もSREという概念でこれを述べています(2018/2現在 無料でGoogleが書籍を公開しているのでご参照下さい)。これにより加速度的に開発スピードを上げることにもつながります。また、コンテナ技術などを活用すれば、インフラの知識が少なくても開発環境などは手軽に作れる時代が来ています。すなわち、これまでの得意分野ではなく、広い知識と従来の得意分野を増やすことが重要で、T型やΠ型と言われているような人材が求められて久しくありません。
フルスタックエンジニアとまではいかないまでも、既存の専門分野にクラウドの基礎知識と活用方法を習得すれば、開発スピードを上げることは可能です。ただし、いろんな現場を見ていると、これが組織的かつ戦略的でないと効果を発揮しないと考えています。
クラウドはとても進化が早いサービスなので常にモニタリングしつつ目利きをする必要があります。これらを特定のエンジニアだけでカバーしながらビジネススピードを加速させることは到底困難です。
クラウドを推進する人材育成し組織的に形成していくために、以下のような選択と集中の視点をもって取り組むことがクラウドネイティブな時代においては重要です。
最後に、日本経済の今後の発展を支えるためには、デジタライゼーションやクラウドを活用したビジネスのイノベーションを起こしていくことが必要であり、源泉となる人材の育成は欠かせないなと常日頃思っています。
私も引き続き、クラウド化を推進する人材戦略や組織づくり(CoE(Center of Excellence、組織横断的専門集団))についてもお手伝いしていきたいと思います。