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Blog - Cloud ComputingCommentary from our cloud experts around the globeBLOG アクセンチュア・ クラウド・ ダイアリーズ

May 25, 2018
クラウド人材育成 組織のAWSケイパビリティをカスケード式に拡大する
By: 青柳 雅之

クラウド推進事業本部 シニア・マネジャーの青柳雅之と申します。私はAWSやAzure、GCPといった主要なパブリッククラウドを使用したIT Modernizationを担当しています。

この記事では、私が所属する部署において実際に行っているAWS技術コンサルタントのトレーニング方法を紹介します。このトレーニングは資格取得を目指すのではなく、AWSの技術コンサルタントを育成することに焦点をあわせています。なお、このトレーニングは私の所属する部署のみで実施しており、クラウドビジネスを行っている他本部を含めた全社で行っているわけではありません。

我々のように多くのエンジニアを抱える部署では、外部のトレーニングのみに依存すればそれだけ多額のコストが発生します。今回紹介する方法はなるべく外部トレーニングに依存せずに自社のリソースでAWSのケイパビリティを拡大する方法の紹介とも言えます。

トレーナー(教える側)とトレーニー(教わる側)
私を含めてAWSからの転職者といったクラウドの経験者もいますが
、未経験者の方々もおりクラウドに関する技術知識のレベルはばらばらです。このトレーニングは比較的クラウドの経験が浅い人(中途採用者)を対象にしています。トレーニングは約半年を1タームとして同じトレーナーとトレーニーで行います。トレーニーは1タームあたり5名前後です。第1タームは私や他の経験者の2名のうちいずれか1名がトレーナーを実施していますが、第2ターム以降は元トレーニーの方がメインで実施しトレーナー経験者がサポートします。このトレーニングでは最初のトレーナーは十分な経験者かそれに準ずる知識の持ち主でなければなりません。しかし第2ターム以降はその限りではありません。これについては後述します。

このトレーニングで目指すレベル
少なくとも主要サービスのベストプラクティスは理解できており、口頭でわかりやすく説明できるレベルを目指しています。
具体的には以下の領域を段階的に学んで行きます。AWSの仕事を行うのであれば、これらは理解しておくべき最低の事項と認識しています。AWSで必要とされる知識は広範囲ですが、例えばトレーニングの中ではネットワークの基礎、といったところまでは言及しません。しかし、読むべき書籍もリスト化しておりトレーニーに提示しています。

メンバーにはAWS認定ソリューションアーキテクト向けの学習資料を事前に読んでおくようにお願いをするくらいでそれ以上のスキルや経験は求めていません。このトレーニングは経験の浅い人を対象にしていますので、技術の基礎を徹底的に身につけます。厳しいビジネス要件に適合する複雑なアーキテクチャーは技術の基礎知識があって初めて検討できます。

実際のトレーニング方法
1つの学習タームを6ヶ月取っており、一度に5名前後をトレーニーとします。最初の3ヶ月は古くからあるサービスが主体、後半の3ヶ月は分析基盤やAIなど、比較的新しい分野を対象にしています。

トレーニングを行う単位


トレーニングを行う単位

6ヶ月のトレーニング(1つのターム)で学ぶ内容


前半3ヶ月で学ぶ内容

EC2, EBS, S3, ELB, R53, RDS, CloudWatch, VPC, IAM, SQS, SES, CloudFormations, ElasticBeanstalk, OpsWork, SWF, DynamoDB, CloudFront, KMS

後半3ヶ月で学ぶ内容

EMR, Data Pipeline, Kinesis, Quicksight, SageMaker 他


ポイントは以下です。

  • 教える側の負担がほとんどかからない方式を採用する。

  • 教わる側の継続的な学習が続く仕組みを構築する。

  • 確実に実績を出せると教わる側が自信を持てる。

トレーニングは週に2回、1回あたり30分です。昼休みの30分に行います。当初、特定の曜日の1時間30分で実施していましたが、プロジェクトの都合で欠席者が多く、このように変えました。昼休みの30分であれば欠席者はほとんどいません。また、Teamsを使ってリモートのオンライン会議でトレーニングを行なっています。集まれる人は弊社の新しいオフィス、赤阪インターシティAIRに集合してトレーニングに参加します。人間の頭脳は一夜漬けで物事を覚えることには向いていません。短時間の繰り返し学習を長期に渡って行うことでその内容は長期記憶になります。1週間に1度、1時間30分のトレーニングを行うよりも、1週間に2回30分ずつのトレーニングを行う方が学習内容が長期記憶として定着するはずです。

ある週のトレーニングを見てみましょう。Teamsのチャネルにあらかじめこれらの宿題がトレーナーから流されます。トレーニーはトレーニングの開始までにこれらを読んでおく必要があります。Microsoft Teamsには、次回の宿題のお知らせのほか、トレーニング中にメンバーに割り当てられた宿題の回答や、学習に役立つ情報も載せています。カスケード式に何度も学習タームを繰り返しますが、これまでのタームの内容を参考にトレーナーはその内容も改善して行くことが可能です。ここに蓄積された情報はAWSのケイパビリティ拡大のための重要な資産になります。

Teamsで流れる宿題


Teamsで流れる宿題

 


事前にトレーニーが宿題として読む資料は、AWS活用事例集にあるBlack Beltシリーズ、各サービスのドキュメントの「よくある質問」、AWS Summitの資料です。詳細を理解する必要はなく、概要がわかれば良しとします。具体的にはEBSのボリュームタイプ全てとその特徴が答えられれば良いレベルです。

トレーニングで使用する資料


トレーニングで使用する資料

週2回のトレーニングがあるわけですが、1回で1つのテーマであることもありますし、2回を使って1つのテーマを学習することもあります。これは学習テーマの難易度とトレーニーの学習到達度に依存します。杓子定規にテーマを設定するのではなく、トレーニーの成熟度を見ながらテーマを組み替えていきます。

実際のトレーニングではこの30分の中で、トレーナーが順番に各トレーニーにクイズを出します。この方法は前職で行っていたものですが、良い方法だったため使わせていただきました。出題範囲は事前に指定しておいた資料です。トレーナーは宿題とクイズを出すだけなので労力はあまり必要ありません。一人ずつクイズを出しますが、答えられないと次の人に順番が回ってきます。また、トレーニーの説明がわかりづらい場合は質問を深堀していきます。簡単な出題の場合で誰も答えられないと、誰かが次回までに調べてくることになります。難しい出題の場合はトレーナーが最後に回答します。30分というのはこのようにクイズをしているとあっという間です。特にネットワークについては当初クイズにまともに答えられる人が少なくて、回数を増やしました。その中でも突出して回答している人がいたので、2回目以降はその人にトレーナー(クイズの出題者)をやってもらいました。 このように習得の早い人にはトレーナーを早めに任すことで、次のタームのトレーナー育成につながります。

クイズでは、トレーナーがクイズをどんどん深掘りをして聞いたり、他のトレーニーが質問を投げる時もあります。顧客との会話でも同様の会話が発生するので良いシミュレーションになっています。そして、自習時には頭の中に入っていた内容が自分や他のトレーニーの口から出ることで、知識が確実に整理されます。また、トレーニーはまともに答えられない自分を認識することで、自分の知識がいかにあやふやだったかを思い知るわけです。

実はネットワークは2回のトレーニングを予定していたのですが、最終的に4回になってしまいました。これは当初トレーニーの知識が浅くてクイズに答えられない人が続出したため、再度やりたいという要望がトレーニーから出されたからです。クイズは以外と楽しく、30分があっという間です。それで他のトレーニーがうまく答えられて、自分が答えられなかったら早くリベンジをしたいと思うようです。これが学習意欲の向上につながります。トレーニング自体は和気あいあいとしたものであり、答えられなかったからといって詰められるわけではありません。自分の知識不足を認識し、次につながればいいのです。毎回このトレーニングが楽しいと思えるようにすることがトレーナーにとって重要な仕事になります。

トレーナーが単にクイズを出すだけでなく、ある回ではトレーナーが指定したAWS Summitのやや高度な資料を順番にプレゼンテーションしてもらいました。このように、学習に変化をつけることはトレーニーに飽きがこないようにするためには必要です。30分しかないのでトレーナーが指定したページを一人数ページずつプレゼンして行き、他のトレーニーが質問を投げて行きます。トレーニーからはトレーニングで得た知識で十分説明できることを実感できたという声を聞きました。

通常の勉強会では順番で誰かが発表する形式のため、自分の順番ではない場合、間違いなくと言っていいほど他人の領域を勉強することはありません。しかし、このトレーニングでは全員が毎回クイズに回答するため、毎週宿題をこなさなくてはなりません。

相手にいかに技術をわかりやすく伝えられるか、といったスキルは技術コンサルタントには必要ですが、このトレーニングでは半年に渡りこの学習を繰り返すのでそのための習慣が身につくようになります。トレーニーが実際に顧客と会話をした際に、おそらく同様の内容が出てくるでしょう。これがトレーニーにとって大きな自信になります。

実はこのトレーニングでは座学による自習だけではなく指定したハンズオンも並行的に実施してもらっています。ハンズオンの進捗も確認をしていますがやはり早めに終わらせた人はクイズでの正解率も非常に高いです。

予想を超える効果
最初の数回は、トレーニーは知識があやふやでまともにクイズに答えられず、ああ、もう30分経ってしまった、という状況でした。
特にネットワークの初回はひどい結果で、かなりなモヤモヤ感がトレーニー間に溢れていました。しかし2、3、4回と同じネットワークという領域でクイズを出し、最後にAWS Summitの資料でプレゼンをしてもらったところ、相当なレベルにきたとメンバー全員が実感しました。このプレゼンテーションの回から初めて参加したメンバーがいたのですが、あまりにハイレベルすぎて驚いたとコメントしていました。1ヶ月ほどたつとトレーニーもAWSの用語やドキュメントの見方に慣れてくるので学習が加速します。実は初回を実施した際に、この人たちは大丈夫だろうかと心配していたのですが(笑)、段々と知識を身につけてきてくれて安心しました。

組織のAWSケイパビリティをカスケード式に拡大
このトレーニングは半年間続きますが、私が半永久的にトレーニングを行うわけではありません。育成されたトレーニーが、次のトレーナーの役割を担って新しいトレーニーにトレーニングを行うことでカスケード式にAWSの技術コンサルタントを組織内で増加させて行きます。自分が育てたトレーニーがトレーナーになる、さらにそのトレーニーがその次のトレーナーになる、というサイクルで新たなトレーナーを次々に生むことで組織のケイパビリティがカスケード式に広がります。次のカスケードを行う時期ですが、主要サービスの学習が終わる3ヶ月目を目処としています。ここでトレーナーができる人が出てくれば私もサポートしながら、別のトレーニーに対して新トレーナーが最初の3ヶ月の学習をスタートします。ただし、これはチームの学習到達度やメンバーの忙しさの状況に依存するためケースバイケースの対応となります。

カスケード式トレーニング


カスケード式トレーニング

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