Accenture innovation hub Tokyo blog

人材、テクノロジー、デザインをつなぎ、デジタル・イノベーションを創出するアクセンチュアの取り組みについて発信します。
March 04, 2019
日本の起業家/スタートアップコミュニティに”Call For Action”!! 今年も熱かったスタートアップの祭典「Slush Tokyo 2019」レポート
By: 坂井田 大悟

世界最大級のスタートアップ企業の祭典「Slush」。その日本バージョンの「Slush Tokyo」が今年も開催されました。Slush発祥の地であるフィンランドから飛び出して東京で盛大に行われた「Slush Asia」から数えると、東京開催はなんと5回目。アクセンチュアでは毎年この起業家/スタートアップコミュニティを支援してきました。事業や社会を変え、ヒトの未来を創造しうるスタートアップとの出会いを求め、坂井田 大悟が「Slush Tokyo 2019」の体験をレポートします。



小池百合子東京都知事が登壇したオープニング

毎年さまざまな工夫やスペシャルゲストの登場で、話題を集めるSlushのオープニング。

今年は小池百合子都知事がスペシャルゲストスピーチで登壇すると聞いて、Slushが成し遂げてきた偉業にまた新たな1ページが加わったように感じます。果たして都知事登壇が起業家や投資家、エグゼクティブ、学生たちに何を語りかけるのか、私も開幕を心待ちにしていました。

ご存知の方も多いと思いますが、Slushはテクノロジー系イベントとしては異色ともいえる、ロックコンサートやクラブイベントかと思うような演出が特徴です。それとは真逆にも思える都議会中継や記者会見で見てきた小池知事が、大音響やライトが飛び交うSlushのメインステージでどうパフォーマンスするのか、期待感が高まります。都知事が壇上に現れた時には、場内からは待ってましたと大スターを迎えたかのような大歓声が上がりました。



Slushは「英語のみ」を掲げるイベントですから、都知事も流暢な英語で、これからの東京そして日本を担う起業家へメッセージを送っていました。

都知事のメッセージ内容は、要約すると次のようなものでした。

「私は、東京は世界の産業や経済の中心地であり、中でも起業家精神(アントレプレナーシップ)こそがその核たる促進剤だと位置づけています。また、社会課題を解決するのはイノベーションです。高いモチベーション、画期的なアイデア、テクノロジーをもつ起業家、特にスタートアップが社会の変革を実現します。
東京都は今後、さまざまな支援策で起業家/スタートアップの成長をお手伝いします。
創業初期からのメンタリング等の支援や、海外の事業会社やVCとスタートアップをつなぎグローバルに事業創出をする支援や、また、更なる国際競争力強化のためにも女性がより活躍するための支援はもちろん、スタートアップとその事業のリスクによって資金調達に窮する起業家を支援するためのベンチャーファンディングの梃入れや少額の財的支援を募るクラウドファンディングにも力を入れていきます。
いまでは日本で最も大きいビジネスプランコンテストの1つとなった『TOKYO STARTUP GATEWAY』の発展も期待しています。今日の皆さんのパッションと決意を決して忘れずに、東京発のグローバル事業で成功を掴み取ってください。皆さんの成功と繁栄、そして健康をお祈りしています」



名だたる経営者が登壇したメインステージ

Slush Tokyo 2019のメインステージには、いま日本を代表するクラスのスタートアップ企業のキーパーソンが続々と登場しました。

たとえば名刺管理サービスを提供するSansanの寺田親弘さん(代表取締役社長)。最近はSansanのTVCMを見ない日がないくらい、プロモーションにも力をいれていますし、「Eight」などのサービスも堅実です。オンラインゲーム等のエンターテインメント事業を展開するgumiの國光宏尚さん(代表取締役社長)は金融市場等の情報サービスを提供するブルームバーグのリード・スティーブンソンさん(Diputy Technology Team Leader)との対談でモバイルゲームのマーケットやブロックチェーンについて熱く語っていました。また、仮想ライブ空間サービスを提供するSHOWROOMの前田裕二さん(代表取締役社長)、モバイル決済サービスを提供する、Origamiの康井義貴さん(CEO)、ショッピングサイトZOZTOWNのサービスを支えるZOZOテクノロジーズの金山 裕樹さん(代表取締役CINO)など、錚々たる方々が登壇していたのもSlushならではでしょう。



投資家向けピッチを見られるピッチステージ

メインステージに登壇したどの方のトークも必聴だと思いましたが、Slushは講演だけのイベントではありません。投資家向けのスタートアップのピッチコンテストも目玉のひとつです。

各スタートアップには厳格な持ち時間(制限時間)が与えられており、その中で的確に自己・チームの紹介、解決しようとしている課題とその方法、対象となるユーザとマーケット・ケース、競合他社とのちがいや製品・サービスロードマップなどを語りきらなければいけません。

ピッチステージでは、入れ替わり立ち替わり、日本だけでなく、中国、韓国、インドなどの企業も参加してハイレベルなピッチをしています。イノベーティブなサービス自体に国境はなく、切磋琢磨する様子をたっぷり見学しました。
今年は、約100社の応募スタートアップの中から約40社がセミファイナルへ、そして4社がファイナルステージへ進みました。ファイナリストは、緊張感に包まれた会場でプレゼンを行っていました。今年の優勝者は、「Clarity」です。「Clarity」は日本では一般的に公開されていなかった事業会社での福利厚生や人事制度といった働き方に関するデータを収集、可視化し、働く女性が自身のライフスタイル・ステージにあった企業を見つけることを支援するサービスで、Slushが始まって以来初の日本企業の優勝となりました。



有名経営者もふらりと立ち寄るSlush Café

Slushならではの魅力の1つが、このSlush Caféです。Slush Caféはトーク用のステージと観覧席で主に構成されるスペース。メインステージを終えた講演者が登場して、「さっきの話の続き」を語るのを聞けるなど、Slushらしさを感じる場所です。

観客席に、著名なスタートアップ企業経営者や創業者などがふらりと立ち寄って話に耳を傾けていたり、あるいはラウンジのようなミーティングスペースで学生や若手企業家と話し込んでいたりするのを見られるのもSlushならではでしょう。もちろん、そうした起業家や投資家を見かけて積極的に話しかけてみるのもSlushの楽しみ方の1つです。



未来の世界を変える技術に出会えるかもしれない? スタートアップのブース

スタートアップ企業のブースは今回も斬新なアイデアやすぐにでも実用化とビジネス化を考えたくなるような技術やサービスを持つ企業が多く参加していました。

今回、私が注目した2つのスタートアップを紹介します。

HONGCA社
HONGCA社は光の反射を利用して光の焦点を操作する技術を有するスタートアップ企業です。通常、LEDの光源から発せられた光は放射してしまいますが、光源に向かって設置した背景パネルによって光を反射してその焦点を操作することで、あたかも特定の場所に光が集まっているように見せることができます。写真のジオラマでは、キャラクターの手の裏側に光源があり、背景紙に反射した光が、立体的に手と手の間に収束しているようにみえます。これによって今までにない照明と空間の設計と表現が可能になるかもしれません。



ファントムエーアイ/財産ネット株式会社
同社は、ニュースや政府統計、機関投資家動静等のマクロ・ミクロのデータを元に、株式や仮想通貨の値動きの把握と、週間価格予報を提供します。

昨今は情報過多の時代と言われ、「やれるコトが多すぎる」と思っていますが、金融資産の運用もその一つです。NISA等の個人投資喚起策やAIが自身の出納、家計簿、資産ポートフォリオまで管理し、そしてリスクに応じて資産配分を見直してくれるサービスまで様々ありますが仕組みが少し難しいなと思うことがあります。

同社のサービスは、シンプルに公知情報を加工、処理、分析し、指定した株価の計算結果を値動きの範囲で示します。また、それら多変数を元に計算するAIの精度を生かし、保険金の請求などの場面で、スマートフォンで自身の動画を取りながら、表示される問診に回答することで、不正請求を検知する応用サービスも提供しています。


レクサスが会場に登場! クルマとテクノロジーの未来

Slush Tokyo 2019では、久々に自動車メーカー協賛による実車展示がありました。クルマの前方には3面のモニターが設置され、ドライビングシーンを再現。今後ますます注目度が高まるモビリティ関連のサービスへ向けたトヨタの意気込みを感じました。



すぐそこにある「未来のカデン」Game Changer Catapult

昨年に続きパナソニック株式会社のGame Changer Catapultには、ありそうでなかった生活の形を垣間見ました。例えば、食器の中にディスプレイを組み込んで食事にデジタルの付加価値を追加したり、忘れ物を家を出る際に通知したりといった提案がありました。

また、好みの音楽に関するを元に酒場でランタンの光を通じて出会う仕組みでは、スタートアップ企業やエイベックス株式会社ともコラボレーションし、このまま製品化できるのではないかと思うレベルでインテグレーションしている展示が見られました。


会場の壁面がアートギャラリーに。テクノロジーを使ったインスタレーション

Slush Tokyo 2019では、会場の壁面を使ったアート展示もありました。これまでにもアート作品が会場を彩ることはありましたが、今回では特に単なる会場の装飾以上のものという扱いです。来場者が自由に触れられるインスタレーションもあるなど、いわば「アートとサイエンス(テクノロジー)の融合」の場が提供されたことが新しいように感じます。

とくにアップルのデザイナーが手がけた作品では、壁に設置された色とりどりのペイントが施されたiPhone/iPadではカメラが起動されており、操作すると異なる言語で説明がされるギミックが実演されていました。見る人によって印象は変化するのだと思いますが、私にはアートや社会そのものの多様性を表現しているように思われました。




まとめ

北欧フィンランドから世界で最も熱いイベントがやってくる! そう興奮して日本で初めてのSlush Asiaを迎えたのは2015年でした。東京開催のSlushも5回目となりましたが、日本の起業家/スタートアップコミュニティの多様性を現し、今年もその熱気が高かったように思います。

主催事務局のメンバー、ボランティアスタッフのみなさん、そして参加したスタートアップと来場した方々に感謝と、「また来年お会いしましょう!」とお伝えしたいと思います。



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