概要
アクセンチュア保科学世 全面監修!第一線の識者や先進企業の取材から、AIによりビジネス・暮らし・世の中がどう変化するのか探る一冊。
過去10年のAIに関する技術の進化には眼を見張るものがある。そして今後10年の間には、あらゆる業種においてAIを用いた業務変革が急速に進んでいくことだろう。
一方で、日本は2035年には人口の約3分の1が高齢者となり、さらに2055年の総人口は1億人を下回ると予想されている。このままでは経済成長などままならない日本にとって、労働人口の減少や超高齢社会、地方の過疎化等の問題をAIの活用によって改善していくことが非常に重要になってくる。
AIで労働力不足を補うというと、自分たちの仕事がAIに奪われるのではないかと不安を抱く人も多いことだろう。しかし、大局的に見ればそうはならない。むしろAIを使いこなし、機械で自動化すべきところは自動化し、またAIによって仕事の質を向上させることで、人間は機械的な繰り返し作業から解放され、創造性や共感性を生かしたより人間らしい仕事へとシフトできるはずだ。そうしてさらに、新しい生き方へと向かうべきだろう。
機械による自動化は単純作業の置き換えにとどまらない。外的要因による不確定要素をコントロールした上で、人間の経験を学習させられる仕組みを構築できれば、より高度な作業をAIが担うことも可能である。そのためには、人間の五感をAIのインタフェースとして高精度に再現、拡張し、その膨大な情報を処理・判断する必要があるが、そのための技術が急速に揃ってきているのが今の時代といえる。
日本ではサービス・接客業など労働集約性の高い分野における人手不足は特に深刻なことから、AIとヒトの協働が不可欠となる社会が世界に先駆けて到来すると予想される。即ち、AIによって人の仕事が奪われるのではなく、AIと人が協働せざるを得ないフィールドがあるということであり、これはAI活用においては大きなアドバンテージとなるだろう。さらに、AIというのは人間で言えば頭脳に該当する部分だが、手足に当たるアクチュエーターとの連携がこれから重要性を増してくる。今の日本が有しているフィールドとロボット技術を組み合わせることで、まだまだ日本にも巻き返しのチャンスはある。
本書では、AI領域の第一人者の皆様との対談やインタビュー、実際に活用を進めている企業の事例記事、各種解説記事を通して、AIによりビジネス、生活、そして世の中が今後どう変化していくのか、その方向性を示していく。
(「はじめに」より)
目次
Part1 AIで何ができるのか、どこまで進化するのか
対談 落合陽一氏(メディアアーティスト)×保科学世 『人と自然の調和をもたらすデジタルの未来と、我々が今すべきこと』 |
対談 松尾豊氏(東京大学大学院教授)×保科学世 『世界に通用する事業を「日本発」で創出する』 |
レスポンシブルAI 保科学世 |
人間とAIの協働こそが社会課題の解決に直結する 川村秀憲氏(北海道大学大学院教授) |
業務領域ごとにAIの力を活用し、自動化・高度化を実現 保科学世 |
対談 石黒浩氏(ロボット研究家)×保科学世 『AI、ロボットが進化した先にある人間の姿』 |
Part2 AIでサプライチェーンが変わる
日本のものづくり復権のカギは“匠の技”のデジタル化 河野真一郎 |
事例 MUJIN様:独自技術でロボットを「知能化」倉庫の自動化で物流業界を変革 |
事例 ソニーコンピュータサイエンス研究所様:人の感覚による品質判断を自動化し、生産現場の官能検査に活用 |
“Trained in China”がブランド力になる時代へ |
Part3 AIで顧客体験(CX)が向上
対談 西畑智博氏(日本航空)×保科学世 『ヒトとテクノロジーの融合からイノベーションを生み出すための原則』 |
事例 日本航空様:音声認識AIの活用で空港旅客サービスの高度化に挑む |
事例 トライアルグループ様:データ活用でムダ・ムラ・ムリを解消し、買い物体験を向上させる |
事例 伊予銀行様:デジタル化を進めて「日本一手続きの簡単な銀行」を目指す |
インタビュー 森 正弥氏(楽天技術研究所) 『クリエイティブAIがビジネスの未来を変える』 |
Part4 AIで組織・人材・働き方が変わる
日本の成長の鍵を握る人間+マシンの協働 保科学世 |
事例 ユニリーバ・ジャパン様:新卒採用プロセスにAIを導入し世界中から通年で人材を募集 |
アクセンチュア事例:AIチャットボット、ロボットPMO、AIO福岡 |
インタビュー 石戸奈々子氏(NPO法人CANVAS 理事長) 『AI時代に求められるのは、学び続ける力と変化を楽しむマインド』 |
対談 村垣善浩氏(医学博士・生命医科学博士)×保科学世 『スマート治療室が見据えるAI×手術による医療の進化』 |
対談 本島靖氏(会津若松市役所)×中村彰二朗 『地方創生を加速させる会津若松市のスマートシティ・プロジェクト』 |
事例 三井住友海上火災保険様:「Risk」×「Technology」のビッグデータ分析で企業の抱えるリスクを診断 |
インタビュー 井上智洋氏(駒澤大学経済学部准教授) 『AI時代の到来―私たちの社会、仕事はどう変わるのか』 |