低価格化が新たな価値を生み出す
グレッグ・カダフィ、ジェイムズ・M・エリス、ポール・F・ヌネシュ
広報誌「アウトルック」日本語版 2010 June
価値の高いものを少しでも安い価格で得ようとする顧客の要求はとどまる所をしらない。しかし、多くの企業にとって、従来の手法によるコスト削減効果は出尽くした感がある。そこで解決策として考えられるのは、コスト削減の取り組みと設計・開発活動を一体化させ、低価格化にこそ創造性を発揮する「コスト主導型イノベーション」によって製品・サービスを生み出し、新たな利益ある成長を実現させることである。
今日、ご存知のとおり、一部の商品が驚くほどの低価格で市場に登場している。例えば2,500ドルの自動車、100ドルのノートPC、20ドルで欧州国間を飛ぶことができる航空券などである。このような低価格の製品やサービスほどには脚光をあびていないが、重要な変化として、企業は低価格への対応を前提にした考え方を強めており、それが医療機器から玩具、宅配業界に至るまで、多くの業界でイノベーションの原動力になっているのである。
設計・開発の初期段階からコスト削減に注力することによって、企業は大きなビジネスチャンスを得られる。というのは、アクセンチュアは今、需要の本質に2つの長期的変化が起きていると考えており、このアプローチによってこうした変化に直接的に対応することが可能となるからである。
1つ目の変化はアジア、アフリカ、ラテンアメリカの新興国で起きているものである。これらの国では、消費活動がほとんどない貧困状態から、低収入ながらもある程度の消費活動を行うことができる家計への転換が進み、手の届く価格であれば幅広い製品・サービスを買いたいと考えている人が増えている。
2つ目の長期的な変化は、先進国市場における個人消費の縮小と倹約志向の高まりで、コスト意識の高い顧客が低価格で高い価値を求めるようになってきている。また同時に多くの先進国では、女性就業率の伸び悩みなどの人口動態変化によって、家計所得が減少し、支出の縮小が一層進んでいる。
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筆者について
グレッグ・キューダフィはアクセンチュアのオペレーション戦略グループおよび戦略プランニングサービスグループの ローバル・マネイジング・パートナーで、経営コンサルティング、テクノロジー・コンサルティングの分野で25年を超える経験を有している。専門は戦略策定、ケイパビリティ構築、サプライチェーン変革である。同氏はアトランタを拠点として活動しており、「World Trade Magazine」の「サプライチェーンのパイオニアトップ50」の1人に選ばれた。
ジェイムズ・M・エリスはアクセンチュアのファイナンス・オペレーションズ・グループのマネイジング・ディレクターである。 同氏のクライアント・サポートの経験は27年間の長期にわたり、その間数々の戦略上・オペレーション上の課題をてがけ、特に大幅な業績改善と企業再構築について造詣が深い。財務機能のトランスフォーメーションに関する2冊の著作の編集を手がけ、いくつかのアドバイザリーボードのメンバーとなっている。同氏はアトランタを拠点に活動している。
ポール・F・ヌネシュは米ボストンにあるアクセンチュア・ハイパフォーマンス・ビジネス研究所の上級研究員兼リサーチ担当エグゼクティブ・ディレクターで、同氏の著作は「Harvard Business Review」、「Wall Street Journal」やその他多数の出版物に定期的に取り上げられている。「Wall Street Journal」に掲載された直近の記事は“Beat the Clock: How Companies Can Use Time to Their Competitive Advantage”(2009年10月)。また共著に「Mass Affluence: 7 New Rules of Marketing to Today’s Consumers」 Harvard Business School Press、2004) があり、アウトルックのシニア・コントリビューティング・エディターも務めている。
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