グローバルM&Aの新たな局面
アーサー・R・バート、クリスティン・フィスリー、キンズレー・サイクス
広報誌「アウトルック」日本語版 2009 June
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先進国の企業経営者は、グローバリゼーションが低価格競争を引き起こす半面、新たな市場機会をもたらすことを理解しつつある。しかし、影響はそれだけにとどまらない。新興市場から世界を狙う多国籍企業が続々と台頭し、グローバルM&Aの主役に躍り出ようとしている。
欧州西側諸国、米国、そして日本という世界経済の3極構造が崩れ、多くの有力な国々がひしめき合う様相へと変容しつつある現在、これまで経済的優位に立っていた国のビジネスリーダーたちは、グローバリゼーションの双方向の流れに気付き始めている。通信、輸送、テクノロジーの進歩や自由貿易の拡大によって、世界経済における資本の流動性はかつてないほど高まり、企業の所有権構造が突然に変化することもある。
新興国市場の企業がグローバルM&A案件における存在感を増す中で、こうした資本と構造における変化が顕著になっている。2007年には、サウジアラビア基礎産業公社(SABIC)が116億ドルでGEプラスチックスを買収した。2008年、今度はインドのタタ・モーターズが、英国が誇る2つの高級車ブランド、ランドローバーとジャガーをフォード社から取得した。中国石油化工(シノペック)と、インド石油天然ガス公社の子会社は、ロシアのインペリアル・エナジー買収を巡って火花を散らし、後者がこれに競り勝って同社との合意にこぎつけた。国外市場の大きさも動機となって、このようなM&A案件は、新興国の証券取引所が成熟するにつれ今後も増え続けると予想される。
筆者について
アーサー・R・バートはアクセンチュア成長戦略グループのシニア・エグゼクティブで、M&Aおよび戦略コンサルティングを含む数多くの領域で21年に及ぶ経験を有している。「Fortune1000」に名を連ねる多数の企業に支援を提供すると同時に、25件以上の大規模な合併案件と、同数の中・小規模案件に携わってきた。アクセンチュア入社前にはA.T.カーニーのアジア太平洋部門にマネージング・ディレクターとして在籍し、同社のグローバルM&Aおよび提携サービスグループで指導的地位にあった。同氏はボストンを拠点に活動している。
クリスティン・フィスリーはアクセンチュア成長戦略グループのシニア・エグゼクティブで、事業変革とM&Aを専門としている。これまで成長戦略、合併前後の企業統合、リエンジニアリング、戦略的変革等の分野で、様々な規模の企業および非営利団体と協働した経験を持つ。同氏は最近行われた北米の通信事業者による6件の大規模合併を含む、多数の合併案件に携わった経験があり、多くの記事を執筆するとともに、M&Aおよび企業変革に関する講演を行っている。同氏はアトランタを拠点に活動している。
キンズレー・サイクスはアクセンチュア北米天然資源戦略グループのシニア・エグゼクティブで、同氏のチームは金属、鉱業、林業、建築資材等の業界の企業にかかわっている。アクセンチュアで12年にわたり、これらの企業に対する戦略的コンサルティングに携わってきた。対象分野は合併前デュー・デリジェンス、企業統合、成長戦略、業務モデル設計等である。アクセンチュア入社前には北米の2つの大手林産物企業で、マーケティング担当役員を15年間にわたって経験した。同氏はアトランタを拠点に活動している。
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