KLMのIT戦略
グレゴリー・ミルマン
広報誌「アウトルック」日本語版 2009 April
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KLMは他の航空会社に比べて、インターネットを戦略的に活かすことができずにいたため、競合他社に大きく遅れをとっていた。その後同社は、業界でも最先端をいくWebアプリケーションを活用する企業へと変貌を遂げた。KLMがどのように変革に取り組み、早期に実現したのか、その軌跡をたどってみる。
1919年創立のKLMオランダ航空は、業界のパイオニアとして、新規ルート開拓と新型航空機導入の双方において、長期にわたり業界をリードしてきた。時を経て1998年、KLMは業界誌が「時代の先端をいくアリタリア航空との提携」と評した、同社との合弁事業に着手し、新たな領域へと進出した。
しかし、このジョイント・ベンチャーはたった1年半で終結を迎えた。合弁会社を軌道に乗せるための課題解決に追われていたKLM経営陣は、90年代後半において、最も重要な拡大戦略の1つであるeコマースへの対応に遅れてしまったからである。
オンラインでのチケット販売市場は急速に成長し、競合他社は時代の流れに乗った移行を着々と進めていった。ところが、KLMは自社のレガシー・システムのリプレースに手間取っていたため、新たなインターネット・セールス・システムを追加することは、極めて困難な状況にあった。
「自社の力のみでこれを成し遂げるのは不可能でした」KLMの情報コミュニケーション技術開発部長、ボート・クリーケンは当時の状況をこう語った。(2004年、KLMはエールフランス航空と合併したが、両社とも自社のブランドと顧客サービスはそのまま継続していた)「当時の社長は、自社の既存の設備にこだわって時間を無駄にしている暇はない、と判断し、外部の力を取り込むことを決めました」
「当初は、ITアーキテクチャを見直し、レガシー・システムを活用していくことで、KLMの変革をサポートするつもりでしたが、すぐに大規模な変革が必要であることが分かってきました」アクセンチュアのエグゼクティブ・パートナーで、KLM担当責任者であるジャン・コーエン・スミットは、当時をこう振り返る。
キャパシティー(便数・座席数)の余剰、イージージェットやライアンエアー等の格安航空会社の登場、さらには、インターネットを駆使して安い航空券を購入する顧客、といったKLMを取り巻く新たな環境は、同社が直面する諸問題をますます厳しいものにしていた。こうした中、9.11同時多発テロが起こった。この事件を契機として、旅客数の激減、飛行機旅行に対する恐怖、新たな法規制、セキュリティ対策上のコストの増加といった、新たな課題が加わり、航空チケット販売のコスト削減は、さらにその緊急性を増していった。
筆者について
グレゴリー・ミルマンはビジネス・ライターでニュージャージーを拠点として活動している。
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