なぜ先進国は新興国の「ワークアラウンド」イノベーションに学ぶ必要があるのか
カレン・クレナン、キャロラ・クルス
広報誌「アウトルック」日本語版 2011 June
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大胆な新しいアイデアがいつも先進国で生み出されやがて新興国へと流れていくとは限らない。新興国では、先進国とは異なるイノベーションへのアプローチが広まっている。このアプローチの生みの親は「欠乏」であるが、先進国の企業では最近見ることが少なくなった高レベルの創意工夫や問題解決能力、活力を備えている。
これまで、イノベーションを長い間主導してきたのはほとんどの場合先進国であったという文脈の中で、イノベーションは語られてきた。エジソンのフィラメント電球、マルコーニの無線電信、バーナーズ・リーのワールドワイドウェブなどがその良い例であろう。しかし、今日のイノベーションはまさにグローバルな現象であることを示す新しいシンボル、それも1つではなくいくつかのシンボルが登場する時がきたようだ。
新興国におけるイノベーションの数は多く、またその範囲が製品だけでなくビジネス・プロセスや消費者行動様式に至るまで及んでいることをシカゴやシュトゥットガルト、大阪の企業経営者たちは見落としがちである。ダートマス大学タック・スクール・オブ・ビジネスのビジャイ・ゴビンダラジャン教授は、新興国では市場の拡大に伴いますます多くのイノベーションが出現すると考えている。イノベーションは先進国の独壇場だとまだ信じている人は、北京でのナノ技術やバイオ技術、ソウルでのデジタル・メディアやゲノミクス、ブラジルでのバイオ燃料、ポーランドでの自動車技術等の台頭を何らかの理由で見逃してきたことになる。
しかし、新興国で出現しているイノベーションには、もう1つの極めて重要な側面がある。それは研究開発資金をどこで調達しどこで使うかではなく、またどのような新発明や新製品が生まれたかでもない。その重要な側面とは、今や新興国に広く浸透しているイノベーション・マインドセットであり、これは「欠乏」から生まれ、欧米の企業では最近見ることが少なくなった高レベルの創意工夫や問題解決能力の源となっている。
アクセンチュアはこのようなマインドセットから生まれた成果を「ワークアラウンド(一時しのぎの、回避手段的)」イノベーションと呼んでいる。このマインドセットはイノベーションへの1つのアプローチであるが、そのアプローチの本質は臨機応変に対応することで、リソースに制約があるのは当たり前という状況下で採用され、メキシコからナイジェリア、さらにはベトナムからウクライナまで、世界のあらゆるところで見受けられる。先進国の企業は、イノベーションへのアプローチそのものを自らの中に再発見する必要がある。これは市場機会の追及がグローバル規模で行われているからだけではない。
筆者について
カレン・クレナン(Karen Crennan)は、アクセンチュア地域戦略のマネイジング・ディレクターである。同氏はまた、アクセンチュア地域ポートフォリオ内で、成長の加速、競争力の強化、収益性の向上を実現する機会を明らかにする責任者を務めている。アクセンチュア・グローバル・サービス・ボードの議長でもあり、ミラノを拠点として活動している。
キャロラ・クルス(Carola Cruz)は、アクセンチュア・メキシコのマーケティング・リードである。同氏は、米国、カナダ、メキシコの日用品、メディア、広告および広報業界で、20年間にわたり数々の要職を経験してきた。マーケティングだけでなく、新興国のイノベーション、商業、新興国の顧客に関するコンテンツの開発も担当している。同氏はメキシコシティを拠点として活動している。
筆者は本記事の執筆にあたり、以下の方々のご協力に感謝する。
ルイス・フェレジン(Luiz Ferezin)、メキシコ担当カントリー・マネイジング・ディレクター、ロベルト・アルバレス・ロルダン(Roberto Alvarez Roldan)、アルゼンチン担当カントリー・マネイジング・ディレクター、ハーシュ・マングリク(Harsh Manglik)、インド担当カントリー・マネイジング・ディレクター、ペドロ・ホセ・ガルシア(Pedro Jose Garcia)、中南米地域担当金融サービス・ディレクター。
イノベーション/R&D戦略に関するアクセンチュアのサービスその他の詳細は、お問い合わせフォームをご利用ください。
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