躍動するブラジル
ロジャ・インゴルド、マルセロ・ジウ・ジ・ソウザ
広報誌「アウトルック」日本語版 2011 February
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ブラジルと言えば、昔はサンバとサッカーで知られていたが、今では押しも押されもせぬグローバルプレーヤーである。安定した政治、多様化した力強い経済、財政規律、欧米諸国のビジネス文化との親和性が溶け合った稀有な国である。
最近、米国かヨーロッパでリージョナル航空会社に乗ったことがあるだろうか。もしあれば、その旅客機はブラジルで設計・生産されたエンブラエル社製であろう。アメリカの独立記念日にグリル・チキンを食べただろうか。そのチキンのメーカーはピルグリムズ・プライドだった可能性が十分にある。この会社の株式の過半数は、現在JBSというブラジルの食肉加工会社が保有している。バーベキューでバドワイザーを飲んだだろうか。最近はこのビールもブラジル「味」となっている。このアメリカの象徴的ビールブランドの所有者はアンハイザー・ブッシュ・インベブ(年商370億ドル、本社ベルギー)で、同社の経営陣の殆どはブラジル出身である。
ブラジルはグローバルプレーヤーとして無視できない存在となっている。かつてはサンバとサッカーで有名であったが、今は驚くほど豊富な商業、金融のビジネス機会に溢れている。安定した政治、多様化した力強い経済、財政規律、欧米諸国のビジネス文化との親和性が溶け合った稀有な国である。
確かに景気過熱の懸念はある。殊に今年の国内総生産が6%以上増加する見込みであることを考えればなおさらである。それでも、同国は今後10年近く、インフレの圧力なく年率4.5%の成長を維持できると考えるエコノミストもいる。
世界中の企業や投資家にとって、多様化が進むブラジル市場の魅力は増しており、急成長する巨大な消費者市場を開拓し、資本を運用し、拡大する知的職業階級のエネルギーと知力を活用することができる。また新しいサプライヤーを見つけ、新規にビジネスパートナーとの関係を構築することもできる。一部の大手多国籍企業は、既にこの国の持つ可能性を明確に認識している。たとえば、ブラジルは化粧品大手エイボン・プロダクツにとって2番目、消費財の巨大企業ユニリーバにとって3番目に大きな市場となっている。
ブラジルは国際政治の場においても存在感を高めている。現在同国は経済的に世界で8番目に大きな国であるが、国連安全保障理事会の常任理事国となることを目指している。国外に定期的に貿易使節団を派遣しており、ポーランドやアラビア湾岸諸国にも貿易サポートセンターを設立している。またハイチにおける平和維持活動では重要な役割を果たしたが、これ以外にも国際的な貢献をしている分野は多い。こうした中でブラジルが誇りとするのは、中国よりも個人が享受する自由が大きく、インドよりも宗派間の争いが少ないことであり、またこれらの国を悩ます政情不安や自然災害の可能性がほぼないことである。
筆者について
ロジャ・インゴルド(Roger Ingold)はアクセンチュアのラテンアメリカ・ジオグラフィック・カウンシル議長で、ブラジルのカントリー・マネイジング・ディレクターでもある。1981年にインターンとしてアクセンチュアに入社し、リテールおよび食品流通業界を専門とする。販売戦略、サプライチェーン、オペレーション分野の豊富な経験がある。同氏はサンパウロを拠点として活動している。
マルセロ・ジウ・ジ・ソウザ(Marcelo Gil de Souza)はアクセンチュアのコーポレート・ストラテジー・グループおよびグロース・ストラテジー・グループのグローバル・ヘッドである。コーポレートガバナンス、M&A、合併後統合、企業戦略、オペレーションエクセレンスなどの分野に深い経験を持つ。同氏はサンパウロを拠点として活動している。
この記事の作成に当たってアクセンチュアのマネジャー、サビーヌ・ウィンバー(Sabine Wimber)の協力を得ている。同氏はサンパウロを拠点として活動している。
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