的を絞る
ウォルター・ハーゲマイヤー、アレクサンダー・ホルスト、ジョージ・F・アルテンキルヒ
広報誌「アウトルック」日本語版 2010 June
イノベーションに成功した企業が皆同じ戦略をとっているとは限らない。最も重要なことは、どのようなイノベーションで企業を成功に導くかを決定することである。たとえば研究開発主導型のリーダー企業になるのか、フォロワー企業であるがM&Aや提携によって必要なノウハウを獲得する企業になるのかなどを決定し、一度決定したらその実現に向けて、持てるすべての資源を投入することである。
イノベーションの成功が収益の拡大につながることはよく知られている。しかし、研究開発費(イノベーション創出のためにどれだけ投資しているかを表す重要な指標だが)の多寡はあまり重要ではないようだ。金額の大小にかかわらず売り上げを伸ばすことができる。ではイノベーションを成功に導くには何が必要なのか。
アクセンチュアが欧州企業を対象に行った最新の調査から、思い切って的を絞った明確なイノベーション戦略が重要であることが分かった。的を絞ったイノベーション戦略を持たない企業の株価や売り上げは大きく伸びることはない。そこで企業はどのようなイノベーター企業になるかを決定する必要がある。つまり、新分野を切り開くために研究開発に多額の投資をする研究開発主導型のリーダー企業になるのか、もしくは研究開発への投資はほどほどにして、M&Aや提携によって必要なノウハウを獲得するフォロワー企業になるのかを決めなければならない。どちらを取るかは業界によって異なる。
共通点
アクセンチュアが、欧州の化学、鉄鋼、電力、石油とガス、医薬品、通信の6大産業の200社を超える企業に対して、イノベーション戦略に関する調査を行ったところ(38頁の記事参照)、イノベーションに成功する企業には6つの業界すべてに共通する重要な特徴があることが分かった。
たとえば強力なイノベーション企業は優れたサステナビリティ戦略を追求する傾向が顕著である。実際、両者には著しい相関関係が見られ、サステナビリティに注力することがイノベーションを生み出す力となっている。たとえば資源の使用を抑えようという考え方が、製品やプロセスの改善につながり、サプライチェーンの効率向上をもたらしている。
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筆者について
ウォルター・ハーゲマイヤー(Walter Hagemeier)は、オーストリア、スイス、ドイツ(ASG地域)のアクセンチュアの経営コンサルティングのカントリー・マネージング・ディレクターである。同氏は電力業界を中心として、20年以上の経営コンサルティング経験を持ち、2008年からASG地域のアクセンチュア・ジオグラフィック・リーダーシップ・チームのメンバーを務める。2006年にアクセンチュアに入社する前は、ドイツのローランド・ベルガー戦略コンサルティングのカントリー・マネージング・ディレクターであった。同氏はデュッセルドルフを拠点として活動している。
アレクサンダー・ホルスト(Alexander Holst)は、アクセンチュアの経営コンサルティングのシニア・マネジャーとして、ASG地域のアクセンチュア・サステナビリティ・グループを統括している。このグループの仕事は、クライアントがサステナビリティ戦略をコアビジネスに組み込むことができるようにサポートすることである。同氏は様々な業界で10年以上のコンサルティング経験を持ち、ベルリンを拠点として活動している。
ジョージ・F・アルテンキルヒ(Georg F. Altenkirch)は、アクセンチュアの経営コンサルティングのコンサルタントである。通信・ハイテク、電力、再生可能エネルギー業界の企業改革、 M&A、カーブアウトを含めた、戦略、財務関連コンサルティングにおいて豊富な経験を持つ。同氏はベルリンを拠点として活動している。
筆者は記事執筆に際し、ベルリンを拠点として活動している、アクセンチュアの経営コンサルティングのコンサルタント、トーマス・シーク(Thomas Schiegg)とネイディーン・バウマン(Dr.Nadine Baumann)、およびイエナ大学のマイケル・フノルト(Michael Hunoldt)の協力に感謝する。
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