~これからのIT部門に求められる役割とは?~
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ITジャパン2011 程 近智講演記録
BRICsをはじめとする新興国の勃興を背景に、世界経済は多極化、無極化の時代を迎えています。一方で、日本経済は長期にわたる低迷が続いています。こうした中で、新興国をはじめとする海外市場にフォーカスする日本企業が増えています。このような経営戦略は当然、IT戦略にも大きな影響を与えます。企業戦略とIT戦略は、同期したものでなければなりません。
近年は変化も見られますが、日本企業の戦略は従来から総花的と指摘されることが多く見られました。IT戦略も同様です。今後は「あれも、これも」というスタイルと決別し、メリハリの効いた骨太のIT戦略の構築が求められています。
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そのためには、まずIT化方針とトレードオフを明確化する必要があります。そこには、3つのポイントがあります。

第1にシステム化対象。システム化すべき対象は国内業務か海外業務か、その対象はコアプロセスかノンコアプロセスか。この2軸で整理すると分かりやすいと思います。経営戦略が海外を向いていれば、システム化の対象業務も海外のものが多くなるかもしれません。また、これまではコアプロセスと思われていましたが、よくよく考えてみるとノンコアプロセスだったということもあり得ます。とすれば、外部の安価なサービスを活用すべきかもしれません。
第2にIT改革のスケール。日本の特に大企業は、数十年前につくられた大規模なレガシーシステムを多数運用しています。運用コストは大きく、レガシー改革は喫緊の課題です。ただ、新規に投資すべき領域もあります。投資対象はレガシー分野か、それとも新規領域か。もう1つの軸は、レガシー改革を全面改修型で行うのか、部分改修して使うのか。CIOは明確な方針を打ち出す必要があります。
第3に業界標準化への対応です。最近、飲料業界トップメーカー同士が共同配送を行うと発表しました。同様のアプローチは様々な業界、様々な領域で可能でしょう。業界標準化、あるいは共同化は大きなコスト効果を期待できます。業界標準ソリューションか、それとも独自ソリューションか。また、M&Aや事業再編を積極的に活用するか、それとも消極的か。ここでも、2軸で方向性を明確化する必要があります。
方向性の明確化、気概と覚悟が不可欠
次に、IT部門(及びIT子会社)の役割について考えてみます。はっきりしていることは、これまでのIT部門のままでは、存在意義が問われかねないということです。 IT予算の海外シフトの傾向は続くでしょう。その海外シフトに、IT部門はどのように対応すべきでしょうか。現状は厳しいといわざるを得ません。例えば、中国やインドに赴任して現地のエンジニアたちをマネージできる人材が、IT部門にどれだけ育っているでしょうか。しかも、クラウドサービスの普及などもあって、従来のような業務効率化のためのIT予算は減る一方です。
IT部門は自分たちの役割を再定義し、自社の経営戦略にどのようにして貢献するのかを明確化する必要があります。IT部門の方向性は次の四象限に分類できます。横軸はプロセスチェンジャーかプロモーターか、縦軸はビジネスかテクノロジーか、です。
第1象限は「経営参加型」のIT部門。経営ニーズとITのトレンドと効果を常に意識しITベンダーからの提案を評価し、それらを組み合わせてどのようなビジネス価値を創出できるかを考え実現する集団です。
第2象限は「BPR屋さん」。ITを活用して業務効率化を推進する部門と位置づけられます。
第3象限は「信頼のおけるIT導入プロフェッショナル」です。従来のIT部門の延長といえるでしょう。
第4象限は「ITのインテグレーター」または「ソーシングプロフェッショナル」。外部の専門家を上手に活用し、高度な技術をベースに様々な提案を行います。例えば、スマートフォンなどコンシューマー系技術を、ビジネス領域に導入して企業戦略に生かすといったイメージです。
いずれの方向を目指すにせよ、その方針を決めるだけでは十分とはいえません。同時に不可欠なのがCIOの気概と覚悟です。CEOの信任を得たCIOによる強力なリーダーシップが求められています。
世界のITエコシステムとIT部門
情報システムの分野では、急速に「工業化」や「水平分業」という動きが起きています。ITよりもはるかに長い歴史を持つ製造業で一般的なことが、ITにも広がってきたといえるでしょう。
例えば、製造業は世界中のサプライヤーを評価した上で、調達先を常に見直しています。長期的なパートナーは存在しますが、そのパートナーも基準をクリアできなければ脱落してしまいます。
同じことを、IT部門は実行できているでしょうか。過剰に多くのパートナーと付き合っているケース、逆に特定パートナーへの依存度が高すぎるケースをしばしば見かけます。調達方針、調達先をもう一度見直す必要があるかもしれません。
また、人材スキルのアップデートは継続的に行われているでしょうか。技術はすさまじいスピードで陳腐化します。陳腐化した技術にしがみつくエンジニアが増えれば、IT部門は役割を果たせなくなるでしょう。
IT子会社も重要なテーマです。IT子会社のスケールや外販率、利益率は適切な水準でしょうか。また、IT子会社へのガバナンスは機能しているでしょうか。あまりにも親会社への依存度が高い場合などには、何らかの抜本的な施策が必要でしょう。
世界のIT産業、ITサービス産業はいまダイナミックに動いています。IT部門やIT子会社は、そこでどのような価値を提供できるのか、一度立ち止まって考えるべきでしょう。
前述したように、自社の効率化に貢献できる領域は狭まりつつあります。ほかには、グローバル・プレーヤーとパートナーシップを結び、世界的なITエコシステムの中に位置を占めるという選択肢もあります。そのためには、強力な独自技術を持っている必要があるでしょう。
そこで注目したいのは、「IT武装化」への関与です。コピー機やデジカメ、クルマなど様々な機器におけるソフトウエアの比重は高まっています。製造業の多くが「モノをサービスでラッピングし販売する」という戦略を強化しています。このような経営戦略を、IT部門はサポートできるはずです。
変革の意思を持つIT部門に、ぜひ提案したいのは、「OUTSIDE-IN」というアプローチです。まず、日本では原則として大きなITプロジェクトは行わず、海外にチームの本体を置きます。日本からの参加は出張ベースです。中国人やインド人に交じって、数カ月仕事をするだけでも相当鍛えられるでしょう。
また、新規開発するシステムに「日本仕様」は入れません。例えば、「可用性99.999%」は日本では当たり前でも、世界的な基準で見れば過剰品質といえます。世界標準の品質に合わせれば、それだけでスピードは増しコストは低下します。
OUTSIDE-INは1つの方法ですが、これまでのスタイルにこだわる組織には何らかの“ショック療法”が必要ではないでしょうか。世界の大きな変化を考えれば、IT部門の変革は待ったなしといえます。現状に危機感を持ち自らを変革しようとするIT部門、その変革をリードするCIOを、アクセンチュアは全力でサポートしていきたいと考えています。
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