BPO連載「グローバル展開に成功する企業、失敗する企業 ~第6回 アウトソース時に陥りがちな4つの“罠”とは?~」

BPO連載
「グローバル展開に成功する企業、失敗する企業
~第6回 アウトソース時に陥りがちな4つの“罠”とは?~」


第6回 アウトソース時に陥りがちな4つの“罠”とは?


ル・フィリップ国内市場の成熟、少子高齢化などを背景に、製造業や金融業、サービス業など様々な日本企業がグローバル展開を急いでいます。

グローバル競争を勝ち抜くためには、効率的かつ確実なオペレーションが不可欠です。また、コアコンピタンスを強化するためには、ライバルに負けない投資が求められます。同時にその原資を生み出すため、競争力に直結しないオペレーション業務の徹底したコスト削減も求められています。

こうした課題の解決に向けて、BPOを検討する日本企業が増えています。ただ、業務の外部化は、企業にとって非常に大きな経営判断です。長期的な取り組みになるだけに、慎重な検討が必要でしょう。アクセンチュア ビジネス プロセス アウトソーシング統括 パートナーのル・フィリップは、企業にとっての懸念材料がいくつかあると言います。


検討アプローチと成功の要諦


「人材や業務移行のアプローチ、セキュリティ、実効性、ベンダーマネジメントなど、企業が不安を感じるのは大きく5つの観点です。人材について言えば、BPO拠点で働く人たちのモチベーション低下や離職、あるいはBPO後の社員の有効活用などです」

BPOを導入する際、業務移行でつまずいてしまうケースは少なくありません。例えば、オフショアのBPO拠点が十分業務に習熟しないままサービスインを迎えれば、結果としてユーザー部門や顧客に迷惑をかけてしまうでしょう。業務移行で陥りがちな“罠”には、以下のようなものがあります。

  • 人材調達―ナレッジトランスファー開始までに適性の高い人材を調達できない
  • ITインフラ―ITインフラ整備が試行運用に間に合わない
  • ナレッジトランスファー―想定期限内に期待した習熟レベルに到達しない
  • 試行運用―実務想定のリハーサルが行えず、稼働判定ができない


こうした罠を避けるためには、様々な工夫や対応策が求められます。表は、陥りやすい罠とアクセンチュアの対応策をまとめたものです。


陥りやすい4つの罠と対応策


「業務適性の高い人材や経験豊富なトレーナーの確保、インフラ整備、暗黙知のナレッジトランスファー、実務を想定したリハーサルを確実に実行することが重要。BPO事業における約20年に及ぶ経験の中で、アクセンチュアは数々の対策ノウハウを蓄積してきました」とルは言います。

BPOを成功させるためのカギとは?

アクセンチュアのBPOの進め方について、日本の大手サービス業B社の事例を見ながら具体的に説明しましょう。

「企業や組織が本来注力すべき領域に集中し、グローバル展開を加速して成長を目指す。同時にグローバルのオペレーションを最適化するために、B社はBPOの活用を検討しました」とルはB社の狙いを説明します。そして、B社とアクセンチュアの間で検討が始まりました。ルはこう続けます。

「最初に行ったことは、お客様の事業戦略、その業界の変化や市場動向について、しっかり認識を合わせること。その上で、あるべき姿を検討しました。こうして事業の方向性を確認し、さらに改革テーマの抽出、BPOの位置付けと目標設定を行いました」

また、今後実施する取り組みの難易度についての認識も共有しました。こうした共通認識をベースに、具体的な計画づくりが行われたのです。

「例えば、集約化計画です。まず考えなければならないのは、集約すべきかどうか。ローカル対応が必要な業務もあれば、集約して効率を徹底的に追求すべき業務もあります。これが決まれば、次に集約の中でどのような工夫をするかを検討します。最後に、自社シェアード・サービスセンターへの内部集約か、それともアクセンチュアのBPOセンターを活用した外部集約かを決めるのです」

このほか、「どのような取り組みから進めるか」という優先順位づけ、全体スケジュールなどを含めた実行プランの策定、想定されるリスクの洗い出しと対応策の検討なども行いました。

こうして移行計画・移行準備、業務課題の確認と新業務設計を行った上で、既存体制から新体制への業務移行を行います。図1はこの一連のプロセスを示したものです。それぞれのプロセスにおいて、成功のカギがあるとルは言います。

「業務移行に入る前の新業務設計においては、改善を徹底的に組み込んでおく必要があります。また、業務移行においては陥りやすい罠に注意。そして、サービスインの後、継続的な改善が行われるような仕組みづくりも欠かせません」

業務移行の際のナレッジトランスファーを例にとれば、アクセンチュアでは顧客の従業員が行う業務を直接見て習得する「シャドーイング」と、今度はアクセンチュアの社員が替って業務を行い、顧客の従業員が後方でチェックする「リバースシャドーイング」を通じて習熟度をアップさせています。

「自動車教習所にたとえると、シャドーイングは先生の運転を、生徒が助手席で見ているという段階。ある程度のレベルに達した生徒は、次に先生を助手席に乗せて自分で運転します。これがリバースシャドーイングです。この段階では先生がブレーキを踏める状態になっています。こうしたステップを踏み、人材の習熟度が一定レベルに到達して初めて、サービスインを迎えることができます」


業務の引継ステップ


継続的な改善を支える仕組みとしては、KPIによる定量的なモニタリングのほか、ユーザー部門などへのアンケート調査などによって定性的なモニタリングも行っています。このような多角的な見える化によって、業務の定着化と改善を図っているのです。

B社のBPO導入はスムーズに進み、ビジネス効果も現れています。この成功を支えたのは、アクセンチュアが20年間以上培ってきた様々な経験とノウハウです。現在、アクセンチュアは日本を含めて、全世界で350社のBPOパートナーとしてサービスを提供しています。


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