図表4:顧客(国内自動車部品メーカー)が半導体メーカー選定時に重要視する項目
 【図表4】の一番上の棒グラフを見て頂きたい。これは今回の顧客調査において、顧客が半導体メーカーを選定する際に重要視するポイントについて全体を100とした場合の各項目の配分を示している。 こういったアンケートを行うと「価格」が最も重視される点としてあがる傾向にあるので、それ以降の項目をみてみるとエンジンECUなどA.基幹性能に関わるものやエアバックなどB.安全機能に関わるものについては品質が何よりも重視され、次いでアフターサポート・安定供給などが重要視されており、製品性能や新製品開発力はその後という形になっている。 車載半導体に求められるニーズは、これまで半導体メーカーが主戦場としてきたハイテク機器(携帯・民生機器)とは大きく異なるということである。それは自動車が人の生命・安全に関係する性質の違いからくる根本的な差異であり、顧客は技術的な先進性よりも、QCD(品質・コスト・供給力)といわれる基本的な能力を半導体メーカーに求めている。当然といえば当然の結果だが、この調査結果からまさにその点が明確になったのである。 更にヒアリングの際の顧客の声から、今後は自動車における半導体の占める役割が大きくなるにつれて、より一層半導体メーカーに求める能力は高度化するものと考えている。 例えば、品質面では交通事故削減政策による安全ニーズの高度化などから品質面での要求基準もこれまで以上に厳しくなる。実際、顧客の中にはppm(parts per million:1ppm とは 100 万個の半導体デバイス中に1個不良があるということ)ではなく、FIT(Failure in Time:10億時間あたりに発生する故障率)で品質を管理しており、品質上問題があった半導体メーカーとは付き合わないようにといった社内通達が下りることもあるというコメントも聞かれ、品質面での顧客の意識レベルは非常に高いものになっている。先進プロセスで量産する一方で、ある程度の不良率を前提とするような携帯や民生機器同様の品質管理意識で車載半導体市場で戦うことはあり得ないことがわかる。 また、供給面においても自動車は10年・20年と利用されるものであり長期供給へのニーズという面に加え、今後は自動車メーカー・部品メーカーともグローバルでの生産活動に積極的である為、グローバル供給力への対応も求められるであろう。 またBRICs、VISTA地域への需要拡大に伴い、低価格車での競争も激しくなっており、現にコスト競争力も求められているが、今後更にコスト面での努力を求められることであろう。 一方で、【図表4】におけるアプリケーション別の重視ポイントを見ると、D.情報・通信といったカーナビなどのアプリ領域では技術面も重視されており、カーエレクトロニクスの高度化に伴って今後は車載半導体の技術進化も求められることになろう。 このように顧客が半導体メーカーに要求する能力は高度化しており、車載半導体事業を取り組むプレーヤーは車載事業にリソース(人材・資金・技術等)を集中的に投下し、注力アプリケーション領域として位置づけた上で正面に向き合いつつ取り組まなければ勝ち残ることは難しい。 また重視するといった回答が多かった項目に関しては、日系の半導体メーカーと外資系半導体メーカーに関する満足度も調べた。現状、世界市場においては上位トップ3を外資系企業に明け渡している日本半導体メーカーであるが、日本市場においては外資系トップメーカーに比べ品質・デリバリー面などにおいて非常に評価が高い【図表5】。 |